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孫育てグッズを作る「BABAラボ」 86歳の高齢者に「収入」と「生きがい」をもたらす

2015年08月16日 11:00  キャリコネニュース

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仕事をすることは、社会と関わりながら報酬を得られるため、生きがいを感じる有効な手段となる。年金をもらって遊んでいてもいいが、高齢者になっても動ける範囲で無理なく働ける職場があれば、仕事をしたい人もいることだろう。

8月10日放送の「ワールドビジネスサテライト」では、自ら新しい市場を切り拓いて高齢者の雇用を生み出す「BABA(ババ)ラボ」を紹介。祖父母世代が孫の面倒を見るときに便利な「孫育てグッズ」を作る工房で、すでにヒット商品も生み出しているという。

サークルではなく「働いてお金になる」点に意義

ババラボは埼玉県さいたま市にある一軒の民家で、近所の主婦たちを集めて2011年に設立。給料は歩合制で、子連れ出勤も自由だ。現在40人のスタッフを抱え、10人の現役おばあちゃんが活躍していることが「ババラボ」の由縁だ。

元々IT関係の仕事をしていた代表の桑原静さんは、「孫育てグッズ」という市場を思いついた。「シニアが自分たちのアイデアを生かしモノづくりするのに、孫育てはぴったり」と考えて、地域の高齢者と会社を興し、新たな市場をつくると決めた。

最初のスタッフとなった祖母の絹子さん(86歳)は、「抱っこふとん」(7020円)の開発に一役買った。高齢者が赤ちゃんを抱っこするときに腕や肩にかかる負担を軽減する。いまでは、ひと月300枚売れることもあるヒット商品になっている。

その後も孫とお揃いで着られるTシャツや、孫とのお散歩グッズなどを次々と開発している。スタッフたちは「使ってもらっているのを見て嬉しいです」「おかげさまで元気でいられる」と楽しそうに語る。

桑原さんはババラボについて、「ただのお茶のみとかサークルではなくて、働いてお金になる、そういう場所が必要だったんだと実感しています」と改めて意義を感じているという。

保育所とともに期待されている「シニア」の力

ババラボの新たな看板商品は、芝浦工業大学に共同開発を依頼した哺乳瓶で、年内にも発売予定だ。桑原さんは、今後は「ジジラボ」も立ち上げ、孫育てグッズの商品開発や営業部隊も作りたいと展望を語った。

「孫消費や孫育てに関する情報が増えているので、注目度は上がっていると思います」

大江麻理子キャスターは、「シニア世代の知恵を生かせる場というのは、作ればあるものですね」とコメントした。

コメンテーターの市川眞一氏の解説によれば、2013年に国立社会保障・人口問題研究所が行った第5回家庭動向調査では、妻が出産し仕事に復帰するときに一番大切な支援者は、親が42.2%、公共機関が33.8%という結果だった。

20年前に比べると公共機関の率は上がってはいるが、まだまだ「親頼み」という実態がある。共働き世帯は今後も減ることはなく、保育所とともにシニアの力が必要とされている。

桑原さんは「今までなかった市場を開拓する」というベンチャー企業ならではの発想で起業したが、リタイア世代に「生きがい」と「収入」をもたらした。それが一番の功績ではないだろうか。(ライター:okei)

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