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「ちゃんりおメーカー」キャラの著作権はサンリオに――SNSで勝手に使ったらダメ?

2015年08月16日 10:01  弁護士ドットコム

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自分にそっくりなサンリオ風キャラクターをつくることができる「ちゃんりおメーカー」が大人気だ。顔の輪郭や目、口、小道具などを自分で選んでキャラクターをつくることができるほか、顔写真をアップロードすることで、キャラクターを作成することもできる。これまでに約1500万ものキャラクターが作られているという。


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ツイッターやフェイスブックなどでは、自分でつくった「ちゃんりお」をアイコンに使ったり、投稿したりしている人が多いが、規約を良く読んでみると、著作権はサンリオに帰属することが書かれている。



著作権がサンリオにあるのであれば、ユーザーがSNSなどで自由に使うことはできないのだろうか。また、ネット上に公開されている有名人が作った「ちゃんりお」キャラクターを真似して、キャラクターを作る場合、誰の権利を侵害したことになるのだろうか。柿沼太一弁護士に聞いた。



●つくったキャラクターは「著作物」


「まず、『ちゃんりおメーカー』を利用して作成されたキャラクターが著作物かが問題となりますが、既存のパーツの組み合わせとは言え、その組み合わせの数は相当数にのぼると思われます。創作性があるものとして、著作物と考えていいのではないかと思います」



柿沼弁護士はこのように述べる。では、「ちゃんりおメーカー」で作ったキャラクターの著作者は、ユーザーということになるのだろうか。



「そうですね。パーツを選択した上で、自由に組み合わせているのはユーザーですから、キャラクターを作成したユーザーが著作者であると思われます。



顔認証を利用して自動的に生成されたキャラクターの著作者の場合は、また別に考える必要がありますが、ここでは触れないでおきます」



●利用規約上、著作権はすべてサンリオに帰属


とすると、「ちゃんりおメーカー」でつくったキャラクターの著作権は、ユーザーにあるということだろうか。



「いいえ、サンリオの利用規約には、キャラクター等の著作権はすべてサンリオ等に帰属するとあります。



法的には、いったんユーザーのもとで発生した著作権が、この規約によってサンリオに移転していると考えるべきでしょう。



したがって、原則として、キャラクターを利用する行為、たとえば、キャラクターをSNSアカウントのアイコンとして利用したり、SNSに投稿したり、販売したりといった行為は、すべてサンリオの許諾なくしては行えないことになります。



また、『ネット上に公開されている有名人が作ったキャラクターを真似して、ちゃんりおキャラクターを作る』といった行為も、有名人ではなく、サンリオの著作権を侵害する可能性があるということになります」



●SNSのアカウントで利用してもOK?


ツイッターやフェイスブック上には、「ちゃんりおメーカー」で作成したとみられるアカウントをよく見かけるが、これらは著作権侵害ということだろうか。



「実は、公式サイトでは、『Q4.作成したちゃんりおは何につかえるの?』という質問で、『LINE・Facebook・Twitterなど、お客様のSNSアカウントなどのアイコンとして使用できます。SNSへの投稿に使用することもできます。また、第三者がその画像をシェアすることに関しても問題ございません』とあります。



これは、さきほどの利用規約を一部変更するもので、営業戦略上、一定の著作物利用行為についてはサンリオがあらかじめ許諾している、ということなのでしょう。ですから、SNSで使うのであれば、著作権侵害にはなりません」



柿沼弁護士はこのように述べていた。




(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
柿沼 太一(かきぬま・たいち)弁護士
兵庫県弁護士会所属、映像制作会社やアーティストからの著作権に関する依頼案件が多い。またIT系ベンチャー企業からの相談・依頼案件も近時とみに増加している。著作権に関するブログ「プロのための著作権研究所」(http://copyrights-lab.com/)を執筆中。

事務所名:STORIA法律事務所