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『滝沢歌舞伎』でタッキーが受け継ぐジャニーズ本流の精神 舞台に注力する活動スタイルを分析

2015年08月15日 17:01  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 滝沢秀明(タッキー&翼)が主演・演出を務めるエンタテインメントショー『滝沢歌舞伎』の10周年を記念して、初の海外公演となるシンガポール公演を8月18日から23日まで開催する。


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 『滝沢歌舞伎』は、2006年に新橋演舞場で『滝沢演舞城』として誕生。ジャニー喜多川が総合演出を、滝沢が主演を務めるスタイルで、会場やタイトルを変えながらも上映を重ねてきた公演である。初演時には、新橋演舞場で史上最少年座長という大役を務め、2010年からは演出を手掛けるなど、滝沢の舞台人生においても節目を飾ってきた公演だ。これまでの上演通算は500回を達成したという。


 滝沢は、ジャニーズJr.時代から多くのテレビドラマに出演していたが、活動の主軸を決してテレビに移すことはなく、タッキー&翼としてデビュー後も積極的に舞台に取り組んできた。滝沢が舞台に力を注ぎ続ける理由を、ジャニーズの動向に詳しい音楽ライターの佐藤結衣氏に聞いた。


「『滝沢歌舞伎』は、そのクオリティの高さからファンがたくさんいますが、その分、リピーターも多いので、毎回内容を進化させていかなくてはいけません。演出も毎年変わっていくので、良い意味での緊張感があります。彼がこの舞台で、エンターテイナーとしてのスキルがかなり鍛え上げられていることは、実際に見ていても感じますね。生ならではの緊迫感、対応力など、ごまかしが効かないもので勝負をしている感じが伝わってきて、もしかしたら本人にとっても、テレビドラマにたくさん出ることより、やりがいを感じているのでは」


 そんな滝沢は、ジャニーズ事務所にとって重要な存在だと佐藤氏は続ける。


「ジャニーズには、ジャニーさんが提言する『1番のエンターテインメントは舞台だ』という根本的な考え方があり、その精神を受け継ぐ筆頭が滝沢さんなのだと思います。滝沢さんは舞台での見せ方を含め、自身をプロデュースすることが出来る方ですから、あえて人の手が加わるテレビ番組に出演しなくてもよいのでしょう。彼の魅力は、舞台に立ち続けることで十分伝わりますし、そうした活動こそがジャニーズの本流でもあるので、ジャニーズにおける『大黒柱』のような存在といえるのかもしれません」


 実際、滝沢は面倒見も良く、彼を慕う後輩も多いため、事務所内でも特別な立ち位置にいるという。


「舞台での活躍に重きを置いた堂本光一さんと滝沢さんは、ジャニーさんの2大お気に入り、ともいわれています。光一さんは、どちらかというと自分の道を突き進む職人気質なところがありますが、滝沢さんには、まるでジャニーさんの息子のような二世感が漂っているんです。後輩の相談にプライベートを割いて乗ってあげたり、『滝沢歌舞伎』で地方に行った時にご飯をごちそうしたりする、後輩思いなエピソードもよく耳にします。自分の傘下にいる後輩をどうにか食べさせていこう、という感覚と、彼らを育てていこうとする意識があるのでしょう。ジャニーズの中でも本当に頼られる存在だと聞きます。事務所や後輩、ジャニーズを背負っているという意識を持って活動しているからこそ、舞台での活躍を大切にしているのではないでしょうか」


 いまなおストイックに自らの実力を磨き続ける滝沢は、今後のジャニーズの発展を支える存在なのかもしれない。なお、9月23日にはタッキー&翼、久々のシングルリリースも決定している。エンターテイナーとしてさらに磨きのかかった姿を、テレビなどで見る機会も増えそうだ。(竹上尋子)