2015年08月15日 12:11 弁護士ドットコム
就職活動で内定をゲットするために、あの手この手で自分をよく見せようとする学生は少なくないだろう。ついつい、話を「盛って」しまうこともありそうだ。「面接での粉飾PR」について、20代の会社員200人にたずねたアンケートの結果が、ネットメディア「webR25」で公表され、26.5%が自己PRを盛ったことがあると回答していた。
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アンケート調査では、話を盛った内容について13の選択肢を示した。そのうち、最も回答が多かったのが、「ちょっとかじった程度のことを『打ち込んだ』とか『趣味』としてPR」(30.2%)。次に「実際は違うが『リーダー』『中心メンバー』などとPR」(24.5%)だった。
個別事例では、「遊びのノリでやっていたアルバイトを真剣にしていたと書いた」「ただ参加していただけでも、自分が主導してやったかのように話を捻じ曲げてアピールした」「研究室のリーダーであると嘘をついた」など、軽い誇張やウソが目立った。
もし、企業に「粉飾自己PR」がバレてしまった場合、内定取り消しになる可能性はあるのだろうか。企業法務に詳しい高島秀行弁護士に聞いた。
「就職面接で、学歴や職歴、資格などの、いわゆる経歴を詐称して内定を取った後、それが嘘だとばれた場合は、内定取り消しの理由になります。内定の段階で判明せず、就職してからばれた場合だと、懲戒解雇となる可能性があります。
これらの経歴は、企業にとっては、本人の能力や適性を図る上での客観的資料として重要なので、これらを詐称することは、雇う企業への背信行為と考えられるからです」
では「粉飾自己PR」はどうだろうか。
「学歴や職歴、資格は客観的に明確ですが、今回のアンケートにあった『遊びなのか、真剣なのか』『参加していただけなのか、主体的に活動していたのか』などは説明する側の主観的評価であって、嘘とはなかなかいえないものです。したがって、そもそも企業がそれを嘘だと判断すること自体が難しいので、それを理由に内定取り消しがなされるということはないと思います。
ただし、客観的に嘘だとわかるような粉飾PRの場合は、経歴詐称と同様に後でばれると、内定取り消しの可能性もあります」
高島弁護士はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
高島 秀行(たかしま・ひでゆき)弁護士
「ビジネス弁護士2011」(日経BP社)にも掲載され、「企業のための民暴撃退マニュアル」「訴えられたらどうする」「相続遺産分割する前に読む本」(以上、税務経理協会)等の著作がある。ブログ「資産を守り残す法律」を連載中。http://takashimalawoffice.blog.fc2.com/
事務所名:高島総合法律事務所
事務所URL:http://www.takashimalaw.com