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「コトリバコ」「ひとりかくれんぼ」「八尺様」 怪談ライターが選ぶネット上の怖い話ベスト5

2015年08月14日 18:40  キャリコネニュース

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突然だが、僕こと松本ミゾレには、以前ある怪談関連のアプリで日本中の怪談やら都市伝説についての情報を書き殴っていた時期がある。

たしか、毎週アップデートするごとに30本以上のネタを提供していたように記憶しているんだけど、そのうち新規で手に入るネタもなくなり、アプリそのものが終了してしまった。時節柄ちょうどいい機会だし、今回は僕が選ぶネット上の怖い話を幾つか紹介してみたいと思う。

いずれも割と有名な話なので既に知っているという方も多いはずだけど、そこはまあ知らない方もいるはずなので、まあ我慢していただきたい。あくまでも紹介という形なので全貌を語ることはしないが、興味があれば検索して、是非最後まで読んでほしい。今回は5つのネタを紹介していこう。(文:松本ミゾレ)

ネット発! 都市伝説的に語られる現代の怪談たち

■コトリバコ
話は、島根県の若者グループが納屋から不審な木箱を見つけるところから始まる。この木箱、地元では「コトリバコ」と呼ばれており、実は大昔に作られた呪物だというのだ。

しかも、成人男性には何の害もないが、女子供が触れるとたちどころに死んでしまうという相当厄介な代物である。ネット上にはその作り方についてまで触れられているが、完成までには動物や子供の命を奪う必要があるため、今では禁忌となっている。

この話、しっかり読んでいくと滅茶苦茶なボリュームがあり、しかも無駄に読みやすい。まるで小説家を志望する人物の書いたような構成になっている。だが、それがいいのだ。

■くねくね
「くねくね」は全国各地の田園に出没するとされる不思議な存在で、得体の知れない人型の物体がその名の通りくねくねと動きながら、目撃者に少しずつ接近する。くねくねの正体を見てしまうと、その人物は発狂してしまい、二度と正気に返ることは出来ないというのがこの話のポイントだ。

正体については色々と憶測はあるが、実は僕も以前田んぼでこれによく似たものを見かけたことがある。そのときはくねくねのことなんて知らないので思いっきり凝視したが、正体は蚊柱を除けようと上半身を右往左往させる近所のおっさんだった。

くねくねの目撃情報は非常に多く、それらを蒐集するのも楽しいんだけど、実際には見間違いも相当多いような気がする。

■ひとりかくれんぼ
これは分かりやすく言えば、ひとりでも出来る降霊術で、ぬいぐるみや糸、塩水やニワトリの心臓などを用意することで、誰でも実行することができる。

その詳しい方法はネットで検索すればすぐにヒットするはず。ただ、これによって怪奇現象が起きても、起きなくても、いい気分がするものでもない。それにニワトリの心臓だって、こういうことに使うよりも普通に串に刺して焼いて食った方がいいに決まっている。

発生する怪奇現象はバラつきがあり、ラップ音などが比較的多い。ちなみに筆者の住むアパートは木造なので、こんなことをしなくても四六時中ラップ音が鳴り響いているのでお得だ。

■パンドラ(禁后)
田舎町の子供たちが、地元で立ち入りを禁止されている古い空き家に探検しに行く。そこで、古い鏡台の引き出しを開け、その中を見てしまった女の子が発狂。くねくね同様、二度と元には戻らない、という話だ。

あまりの事態に怖くなった子どもたちが逃げ帰ると、大人に「お前らあそこに立ち入っただろ!」と怒られ、そこではじめて立ち入り禁止にしている理由が語られる。こういう話の組み立て方をした都市伝説は、結構多い。ネット上ではこの話が人気のようだ。近代怪談の入門編としてよく知られている。

■八尺様
最後は「八尺様」という話を紹介したい。僕はこの話が大好きだ。祖父母の住んでいる田舎に遊びに行った少年が、そこで高い塀越しでも頭が見えるほどの大きな女性を見かける。これが八尺様だ。

一尺はおよそ30センチなので、彼女の身長は240センチにも達しているということとなる。白いワンピース姿で、しかも「ぽぽぽ」としか発声しないのがなんとも不気味だ。八尺様は幽霊なのだそうで、恐ろしいことに、魅入った子供をどこかに連れ去ってしまうのだという。「そんな危ないもんがうろついているところに孫を呼ぶなよ!」と祖父母にツッコミを入れてしまいたくなるけど、そういう話なのだから仕方がない。

また、この話には幾つかバリエーションがある。別の遭遇者が語る話も、真偽はさておき面白いので、そちらも探してみるといいだろう。

怪談の「真偽」はどこまで重要なのか

と、有名な話ばかりを紹介してしまったが、いずれも近代怪談としてネットを中心にかなり人気になっている。今ではこれらがホラー映画や小説、漫画の題材としても役立てられるようになった。

僕は怪談の真偽については、特に気にしない。面白ければどんな怪談だってみんなに知ってもらいたいし、例え本当にあった出来事だとしても、冗長なだけでオチが弱い話には、惹き付ける力がないのだから興味も向かない。

語り手の紡ぐ言葉に宿る言霊が、聞いたものを畏怖させ、そしてそれでもなお聞きたいと思わせる。これが当たり前に出来るのが、怪談なのだと考えている。

この点、今回紹介した5つの話は、多くの人々に「怖い!」と思わせることに成功しているのだから、この力が十分に備わっているのだろう。だが、本当の意味で身の毛もよだつ怪談というものは存在している。まだまだメジャーではない怪談の中にも、卒倒するほど強烈なヤツが幾つも隠れている。

そのうち媒体を選んで、それらの中から特にお気に入りの話を紹介したいと考えている。そのときは全文を書き起こすので、期待してお待ちいただきたい。

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