お盆休みで、一斉休業の会社も多いことだろう。仕事から離れて、ゆったり羽を伸ばしている人もいると思われるが、キャリコネニュースには「仕事 辞める」「会社 辞めたい 新卒」といった不穏なキーワードを検索して訪れる読者が増えている。
そんな中、経営共創基盤の安井元康氏が東洋経済オンラインの「キャリア相談」コーナーで、4月に新卒入社したばかりの男性に対し「すぐに退職するべきです」とアドバイスし、ネットで話題となっている。
若い時期にボーっと過ごすのは「機会損失」
悩みを打ち明けているのは、OA機器販売営業の「ちぇるしー」さん。複合機の飛び込み営業に携わっているが、市場に物があふれており「リプレースさせて売りつけるのは心が痛みます」という。
飛び込み営業を繰り返すうちに客先をノックするのも怖くなり、1日ボーっとして会社に帰る日が多くなっていると明かしたうえで、「退職すべきなのでしょうか?」と相談している。これに対して安井氏は速やかな退職を勧めているが、その理由はこうだ。
「若い今の時期にそういった時間の過ごし方をすること自体を、機会損失であると考えたほうがよいでしょう」
安井氏は「ある程度の困難に耐えることは重要」としながらも、その際に必要なのは「少なくとも自分自身でそれを正しい道と信じていること」だとする。そして現状のように、ボーっとしていても何とかなる環境に身を置くことの弊害を指摘する。
「一度仕事とはこういうものだ、という感触が身についてしまうと、その後それを別の方向に舵を取るのは考える以上に困難が伴います」
「その時間をより生産的な事に活用できれば、ちぇるしーさんの今後の仕事や人生にとって、さまざまなよいことが生まれるはずです」
安井氏は「一度入った会社でずっと働け」といったルールなどないと断じたうえ、転職という手段は「誰もがつねに心の中で想定をし、準備をしておくべき社会人としての必須科目」と指摘した。
読者は「何を言ってんの?」と批判
安井氏の現状の就活にも矛先を向ける。「一流企業、有名企業は労働者にとっても一流の場所」というのは勘違いだとして、学生にこう同情を寄せている。
「そもそも就職においては学生という立場で仕事の経験もない中で、限られた情報を基にして仕事探しをするわけです。一生その仕事が自分に合うと考えるほうが無理がある」
そして「間違えることは失敗」といった根性論は捨てて、「進路変更はもっと自由」に行うべきだと主張している。しかしこのアドバイスには、ネットで疑問視する声も見られる。ツイッターには、
「飽和市場でも売ってくる奴はいる。どうして自分から購入してくれてるかもよく知ったから、やりがいもわかる」
と、売れないのは相談者のやり方が悪いからと指摘する投稿が見られた。東洋経済オンラインのフェイスブックにも、こんなコメントが寄せられている。
「何を言ってんの?飛び込み営業が辛いから辞めたいって、どんだけ情弱なんだよ」「自分で選んだ職場。なんでしょ!」
「私の息子であれば、すぐにやめさせる」というコメントも
「熱血キャリア相談」という連載名を取り上げて、安井氏の助言内容が「熱血でも何でもない」と不満を漏らす人も。「甘えるな!」という叱咤激励を期待したのだろうか。
その一方で「私の息子であれば、すぐにやめさせる」と明言する人も。それは仕事が辛いか辛くないかとは関係なく、「疑問を持つ仕事で人生の大切な時間をつぶすべきではない」という理由からだそうだ。
なお安井氏のプロフィールを見ると、「アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業」などを経て、経営共創基盤に参画した異色の経歴だ。大学も中堅校で、一流大学から有名企業に入った他のメンバーとは異なっている。
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