昭和を思い起こさせる昔懐かしいグルメたち。子供の頃や学生時代など、過去の大切な気持ちにそっと触れられるから、またあの味に会いたくなる。そんな料理に再会できる都内の老舗店3軒をご紹介。
◆1895年創業の銀座の老舗「煉瓦亭」でエビフライ
「煉瓦亭(れんがてい)」という店名は創業時の120年前、煉瓦地と呼ばれていた銀座の地名から取ったもの。1895(明治28)年にフランス料理店として創業したこちらが、日本人の口に合うようにと、天ぷらのように高温でエビを揚げたのがエビフライの始まり。
生パン粉を使ったさっぱりとした味に、数十年通うお客も多い「エビフライ」(2000円)のほか、多くの洋食メニューがこちらで生み出されたそう。子供の頃のごちそう、エビフライを銀座の老舗店で楽しめば、大人になった喜びもひとしお。
◆新橋駅直結の喫茶店「カフェテラス ポンヌフ」でナポリタン
子供時代、口のまわりについたケチャプを気にしも留めず、無我夢中で食べたナポリタン。ケチャップの酸味が感じられる昔ながらの味を楽しむのなら、創業はおよそ半世紀前の新橋駅前ビル1号館内の喫茶店「カフェテラス ポンヌフ」へ。
銀皿にのって登場する「スパゲッティ・ナポリタン」(650円)は、やわらかい太麺が特徴。ひと口いただけば、甘酸っぱくて懐かしい味が、無邪気だった自分に引き合わせてくれる。キッチンを囲む客席では、フライパンでナポリタンをリズミカルに炒める音に心踊らせて。
◆淡路町の「栄町ミルクホール」で昭和の味・醤油ラーメン
古い引き戸を開くと、長テーブルと丸椅子が並ぶ創業当時と変わらぬ風景が目の前に。1945(昭和20)年創業。開店当初が、軽食や甘味など揃えるミルクホールとして営業していたけれど、時代の経過とともに、特製の細麺を使ったラーメンやカレーライスをメインに扱うように。
ここで2代目の店主・高橋栄治さんが守り続けるのは、昭和の東京で主流だった「醤油味ラーメン」(620円)。鶏ガラベースのスープは、思わず最後のひと口まで飲み干したくなるほどあっさりした味わい。魚介豚骨など凝ったラーメンが人気の今こそ、シンプルな1杯が体中に染み渡る。