スーパーGT第4戦は9日、富士スピードウェイで66周の決勝レースが行われ、残り10周で怒濤の追い上げを見せたD'station ADVAN GT-Rが今シーズン初優勝を飾った。2位にはZENT CERUMO RC F、3位にカルソニック IMPUL GT-Rと、レクサス強しの戦前の予想を覆し、GTーRがトップ4の中で3台が入る強さを見せた。
気温31度、路温45度という真夏のコンディションの中、もはや恒例とも言える警察車両による1周のパレードランを行いスタートした決勝、GT500はポールポジションスタートのZENTの立川祐路が後続を引き連れオープニングラップでも危なげなくトップを守ると、その後方では、D'stationとRAYBRIG NSX CONCEPT-GTがドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTをかわしてポジションアップ。一方、8番グリッドからスタートしたカルソニックは14番手にまでポジションを落としてしまった。
続いて3周目には、3番グリッドスタートのPETRONAS TOM'S RC Fが1コーナーでARTA NSX CONCEPT-GTをかわすと、レクサスのワン・ツー体制が早々に出来上がる。序盤から各ポジションで順位争いのバトルが激しく、8周目にはRAYBRIGがD'stationを最終コーナーでいったんかわしたものの、直線では再びD'stationが前へ、その後は再びRAYBRIGが前といったように緊張感の高い5番手争いが繰り広げられた。後方でもS Road MOLA GT-RとKEIHIN NSX CONCEPT-GTがバトルし、随所で接近戦が行われる。そんな中、ENEOS SUSTINA RC FはKeePer TOM'S RC Fとの接触があり、最後尾までポジションダウン。その後、この件で27周目にKeePer TOM'S RC Fにはドライブスルーペナルティが課されている。
19周目、ARTA NSX CONCEPT-GTがPETRONAS TOM'S RC Fの前でストレートに戻ってくると、20周目の1コーナーでは300クラスも交えながら4台が急接近。激しい2番手争いが繰り広げられる。PETRONAS TOM'Sは上手く抜け出すものの、ARTAはGAINER TANAX GT-Rに進路を狭まれハードブレーキングを強いられる。その結果、PETRONAS TOM'Sとは大きく離されてしまう。しかし、29周目には再びPETRONAS TOM'SとARTAが急接近、最終コーナーではARTAがPETRONAS TOM'Sをかわし2番手に返り咲いた。
レースは30周を超えた辺りからルーティーンのピットが始まり、上位勢では31周目にPETRONAS TOM'Sがピットイン。しかし、右フロントタイヤの交換でわずかにタイムロスし、42.6秒でマシンを送り出す。翌周にはZENTがピットに入ってくると、トムスより若干遅れる43.8秒でマシンをコースに送り出す。さらに続いて、ARTAとD'station、MOTUL AUTECH GT-Rが揃ってピットインしてくると、ARTAがピット作業に50.8秒掛かってしまい大きくタイムロス。その間に一緒に入ってきた2台に先行を許してしまった。
全車がルーティーンのピットを終えると、トップにはZENT、PETRONAS TOM'Sとレクサス勢のワン・ツー体制。そしてなんと、MOTULがポジションアップに成功して3番手に浮上。逆にARTAは9番手にまで順位を落としてしまった。
トップのZENTはドライバーを石浦宏明にチェンジし、ペースを守りながらトップを走る中、38周目には2番手争いが激化。PETRONAS TOM'S駆る伊藤大輔の背後にMOTULのロニー・クインタレッリが迫ると、燃料リストリクター径を絞られているMOTULはストレートでは離されてしまうものの、セクター3では速く、13コーナーの進入でPETORONASのインを突いて2番手に浮上。その後ろでは、RAYBRIGの伊沢拓也とD'stationの佐々木 大樹とのバトルが繰り広げられ、さらにドラゴ モデューロの小暮卓史とKEIHINの塚越広大というように、後半戦も各所でバトルが展開されていった。
レースも終盤戦に差し掛かる45周目には、ARTAの左リヤタイヤがバーストしてスロー走行。この頃になるとタイヤかすやマシンのパーツなどが路面に散乱して、かなりダスティな状態となっていた。結局ARTAはピットまで戻ってくることは叶わず、マシンをコースサイドに止めてGT500最初のリタイアとなってしまう。
終盤戦には、順調にトップを走行していたと思われたZENTのペースが伸びず、後続が詰まってくる。45周・46周目に差し掛かる頃には2番手のMOTULのペースがトップのZENTの背後に迫ると、49周目には2台の差は1秒を切るまでに接近。そして、51周目には最終コーナーで前を行く石浦にクインタレッリが並び掛かるも、その後のストレートでは、やはりZENTに分がありMOTULは攻略できない状態が続いた。
そのまま1秒差以内の接近したトップ争いが続くなか、5番手を走行していたD'stationを駆る佐々木大樹が53周目の1コーナーでRAYBRIGをイン側からかわして4番手に浮上すると、一気にペースアップ。上位3台のタイヤがタレてペースが落ちるなか、D'station 佐々木のペースは変わらず速く、上位の追撃が始まる。
残り10周を迎えるころに、まずはPETRONAS TOM'Sを最終コーナーでインからかわして3番手に浮上すると、トップの2台よりも1秒以上速いハイペースで猛追。残り7周ともなると、佐々木はトップの2台の背後に迫り三つ巴の争いに発展し、トップのレクサスを2台のGT-Rが追う図式になった。そして、残り7周の最終コーナーで佐々木がMOTULのクインタレッリを同じく最終コーナーでかわして2番手に浮上。そして、メインストレートでZENTの石浦を抜き去り、残り5周でトップを奪った。
レースはD'station 佐々木がトップを快走するままファイナルラップに突入すると、表彰台の最後のイスをかけた3番手バトルが勃発。一時は14番手にまで後退したカルソニックが徐々に追い挙げてMOTULとのGT-R対決になると、ペース的にはレース終盤でも1分33秒台のカルソニックと1分34秒台のMOTULではカルソニックに軍配が上がり、最後の最後でカルソニックが3位表彰台を獲得することとなった。
結局優勝は、最後までハイペースを守ったD'station ADVAN GT-Rが2番手のとの差を4秒以上広げてチェッカー。今シーズン初優勝を飾った。佐々木にとってGT500クラス参戦2年目にしてようやく手にした優勝。マシンを降りた佐々木の目には涙が溢れてた。一方、クルムは復帰戦で嬉しい優勝となった。
レクサスが大本命で迎えた第4戦富士。練習走行、予選と予想どおりの速さを見せていたが、いざレース本番となると、GT-Rが改めてその強さを見せることとなった。これでGT-Rは4戦3勝。もはや、手が付けられない状態になりつつある。