2015年08月09日 11:51 弁護士ドットコム
「現役女子大生専門店」などとうたった売春店を経営したとして、大阪・堺市の男性ら6人が7月、売春防止法違反(周旋)の疑いで警視庁に逮捕された。押収した顧客リストは約3000人にのぼり、2年間で約2億円の売上があったとみられている。料金は1時間4万円からで、在籍女性70人のうち、約30人が有名大学などの現役女子大生だったという。
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報道によると、6人は東京・渋谷で、「ガーリー東京」「エリートクラブ」の名前でデリバリーヘルスを装って、派遣型の売春クラブを経営。6月下旬、渋谷のホテルで男性会社員に18歳の無職少女を引き合わせ、売春させた疑いがもたれている。
両店舗のうち、「ガーリー東京」は「現役女子大生専門店」であることをアピールしていた。しかし、ネット上の体験談の中には、実際に利用した男性が「現役女子大生ではなかった」「専門店ってのはやっぱ難しいんでしょうね」と報告しているケースもあった。
男性側としては買春している後ろめたさがあるため、実際には問題にならないことが多いだろうが、「女子大生専門」の売春店を利用して、やってきた女性が大学生ではなかった場合、返金などの対応を求めることは可能なのだろうか。森本明宏弁護士に聞いた。
「結論から言うと、法的に返金を求めることはできないと思われます。
たとえば、ブランド品を購入したところ偽物だったような場合は『錯誤』といって、原則として、契約を無効とし、代金の返金を求めることができます。
これと同じように、売春相手が女子大生であると考えていたにもかかわらず、本当は女子大生でなかった場合にも、同じように、返金を求められるように思えるかもしれません。
しかし本件のケースで、仮に、裁判所が『女子大生に売春をさせなかったことが問題である』として返金を認めるとすると、女子大生に売春をさせることを裁判所が認めたということにもなりかねません。
ですから、売春行為自体が売春防止法で禁止されているにもかかわらず、裁判所がこのような判断を行うというのは明らかに不当な結果となります。
裁判所がそのような不当な判断をしなくて良いように、民法708条において、『不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない』と定められています。
つまり、本件のように売春という不法な原因のために、代金を渡した場合は、この条文により、その返還を求めることはできないと考えられるでしょう。
自ら違法なことに手を染めておきながら、困ったときだけ法に頼るという態度は許されないというのは当然と言えるでしょう」
森本弁護士はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
森本 明宏(もりもと・あきひろ)弁護士
愛媛弁護士会所属(2002年弁護士登録)。2010~2011年度、愛媛弁護士会副会長。愛媛地方最低賃金審議会公益委員・日本スポーツ法学会会員。http://www.facebook.com/lawyer.morimoto
事務所名:四季法律事務所
事務所URL:http://www.shiki-law.com/