ニッサンは、今年のル・マン24時間からWEC世界耐久選手権のLMP1クラスへの参戦を開始したニッサンGT-R LMニスモについて、シリーズへの参戦を遅らせ、今後もテストプログラムに注力していくことを発表した。
ニッサンは今年、16年ぶりにル・マンの最高峰カテゴリーへと参戦するとともに、ル・マンを中心とするWECにもフルシーズンエントリー。GT-R LMニスモと名付けられたマシンは、ライバルたちとは大きく異なるFFレイアウトを採用し、大きな注目を集めた。ただ、開発のためWEC開幕2戦を欠場したほか、シリーズ第3戦となったル・マンでも多くのトラブルに見舞われ、参戦した3台ともに完走できずにレースを終えていた。
また、LMP1クラスではメーカーチームにハイブリッドシステムの搭載を義務付けられているが、GT-R LMニスモはル・マンにおいて、エネルギー回生システムを搭載していたものの、実際の走行はエンジンのみで行なっていたことが明らかになっている。
その後、8月末に開催されるニュルブルクリンクでのWEC第4戦には2台体制でエントリーしていたニッサンだが、ル・マンで発生した技術的な問題を受けて、「問題の解決に時間を割く」ためとして今シーズンのWECへの参戦を延期することを7日に発表した。参戦開始時期は「テストの進捗状況によって」決まるということだ。
「ファンの方はがっかりされると思いますが、それ以上に私たちもとても残念に思っているのです」と語るのはニスモの宮谷正一CEO。
「私たちはレーサーであり、競いたいのです。そして、強くありたいのです。よって、厳しい競争が待ち受けるWECで戦えるニッサンGT-R LMニスモを準備するため、テストプログラムの続行を選択しました。最初のハードルで諦めることはありません。この困難を乗り越えたいと思います」
また、ニスモのグローバルヘッドオブブランド・マーケティング&セールスを務めるダレン・コックスは次のように語る。
「革新は痛みを伴います。私たちは、他のレーシングカーとは大きく異なるLMP1マシンを現実化し、モータースポーツに革新を起こそうとしています。私たちを後押ししてくれるファンが、この革新の成功を待ち望んでいることが心強いです。ファンは、モータースポーツにこれまでと違ったものを希望しています。そのことが、強いLMP1マシンを作ろうというモチベーションになっています」
ニッサンは先週、オースティンでハイダウンフォース仕様のマシンをテストしており、今後もアメリカに拠点をおいてテストを続けていくとしている。