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“背水の陣”で臨むチームも──スーパーGT第4戦富士プレビュー

2015年08月07日 23:50  AUTOSPORT web

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15スーパーGT第2戦富士 GT500スタートシーン
前回のタイ戦から約1カ月、国内での開催となればゴールデンウィークの富士以来、2カ月ぶりの開催となるスーパーGT第4戦富士がいよいよ8月8日から始まる。8月のスーパーGTは今回の富士、そして3週間後の鈴鹿1000kmの2回開催となるが、例年、この夏場にビッグポイントを稼いだチームがチャンピオンシップを獲得しているだけにGT500、GT300ともに、どのチームにとっても重要な戦いとなる。

 GT500は今回、ランキングの中位以下のチームの活躍が見どころとなる。これまでの3戦はGTーRが2勝を挙げており、ランキングトップはKeePer TOM'S RC Fが守るものの、2位以下はGT-R勢が列挙。そのランキング上位陣は今回、ウエイトハンデが大きく苦戦が確実な状況だけに、ウエイトの軽めなチームにとっては大きなチャンス、いやむしろ、ココを逃せば今季のチャンピオンシップを諦めざるを得ないといった状況にもなりかねないのだ。

 ウエイトが比較的軽いマシンの中で、今回絶対に負けられない覚悟で臨むのがレクサス陣営だ。今回の富士には6台全車、ニューエンジンを投入。年間3基と定められてるエンジンの2基目を持ち込み、さらにエキゾースト周りを変更するなど、現規定の中では大きなアップデートを施してきた。TRDのエンジン担当、佐々木孝博エンジニアによれば「本来、今季の開幕に入れるはずだった仕様をすべて今回、入れることができました。エンジンとしては全域でこれまでより性能アップしています」と、手応えアリの様子。

 実際、この富士戦を前に行われたSUGO合同テスト、そして鈴鹿でのタイヤメーカーテストにも2台分を投入し、そのパフォーマンスと信頼性は実証済み。アップデートとしては「トークンを5つ使ったくらいです(笑)」と、今のF1のパワーユニットになぞらえて答えたが、言い換えればかなりのアップデートを施してきた、ということ。今季のチャンピオンシップだけでなく、この3年、レクサス陣営は富士での勝利から遠ざかっていることもあり、今回にかける意気込みは計り知れない。佐々木エンジニアも「負けられない。背水の思いです」と今回にかける。前回のタイ戦でも速さを見せたZENT CERUMO RC F、そしてPETRONAS TOM'S RC Fは今回の大本命の優勝候補となる。

 一方、この3戦で苦しい戦いが続いているホンダ陣営も、すでに2基目を投入しているRAYBRIG NSX CONCEPT-GT以外の4台が“バージョン2”となるニューエンジンをこの富士で投入。ホンダ陣営を率いる松本雅彦プロジェクトリーダーによると、「出力としては1%以上、向上しています」とのこと。ホンダ陣営としては、この富士戦後の鈴鹿1000km、SUGO、オートポリスがクルマとの相性が良く勝負どころとなるため、この富士戦は“耐える”展開となる。それでも、「ウエイトの軽いチームはなんとか上位に。ウチの上位2チーム(KEIHIN NSX CONCEPT-GT、RAYBRIG NSX CONCEPT-GT)は、次の鈴鹿でウエイトを降ろせる(50kg以上になって燃料流量リストリクター径を縮小する)順位でフィニッシュするのが目標」と、この富士の戦い方を語る。

 GT-R陣営としては、D'station ADVAN GT-Rのウエイトが軽く、ドライバーもルーカス・オルドネスに替わってミハエル・クルムが復帰することもあり、ニッサン陣営の一番の注目となる。引き続きマシンをドライブする佐々木大樹も「今回は勝つチャンスが大いにあると思っています。勝ちにこだわっていきたい」と意気込みは十分だ。一方、現在ランキング上位のGT-Rは2台が燃料リストリクター径が縮小されるなど、ウエイトハンデが厳しく、入賞圏を争う展開となりそうだ。GT-R上位陣は予選が厳しくなるだけに、レースでどこまで順位を上げることができるかがキモになる。

 GT300の今回の注目どころは、FIA-GT3のニッサンGT-RニスモGT3以外の車両がどこまで巻き返せるか。GT500と同様にGT300もGT-Rが3戦2勝と強く、他を圧倒している。だが、今回はウエイトハンデが厳しくなるため、優勝争いは厳しそう。その隙を狙い、メルセデスベンツSLS AMG GT3、BMW Z4 GT3、アウディR8 LMSウルトラなどのマシンはビッグポイントを稼ぎたいところ。

 今季は3戦低迷しているグッドスマイル 初音ミク SLSの谷口信輝も「ここで行かなきゃどうする、という心境。ここで大量得点しないとチャンピオンシップが終わってしまう可能性がある」と、背水の陣で臨む。この富士前のSUGO公式テストではかなりの手応えを感じたということで、今回の富士では本命の一台になる。GT300のマザーシャシー勢も、今回はそれぞれ、アップデートを施しており、直線速度が厳しいなか、どのような戦いを見せるのかが注目される。

 真夏の富士戦、晴れれば猛暑となることは確実だが、雨の確率も決勝日で60%と高い。ゲリラ雷雨も予想されているため、そうなればレース展開は予測不能となる。熱中症対策とともに、観戦の際には雨対策にもお気をつけを。