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TAK-Zが語る、新アルバムで目指した新たな地平「いろんなところから導かれた作品」

2015年08月06日 16:50  リアルサウンド

リアルサウンド

TAK-Z

 レゲエシーンで全国区の人気を誇るシンガー、TAK-Zが4作目となるアルバム『Stardelight』を完成させた。BIG BEARらと共に設立した〈STARDOM RECORDS〉からのリリースとなる本作は、さらなる頂点へと向かう彼の新たな一歩。持ち前の甘い歌声やまっすぐなリリックの裏に、彼の“今”がさまざま垣間見られるリアルなアルバムとなった。


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・「悲しい歌でも自分の中では未来につなげるようにしてます」


――心機一転立ち上げたレーベルからの第一弾アルバムとなりますが、どんな気持ちで向かいましたか?


TAK-Z:自分たちで立ち上げたレーベルの一発目ということで、すごく気合いを入れたのと同時に、やっぱり不安もありました。でもアルバム全体としては、今までの作品の中でも一番自分の好きなことができたし、いろんなスタイルを詰めこむことができましたね。


――これまでと制作面の違いはありましたか?


TAK-Z:自分にないものを引き出してもらうためにプロデューサーを立てて、歌詞の内容にも意見してもらえたことが新鮮でした。ボーカル面に関してもだいぶ指導を受けました。


――ジャマイカンとの共演やカヴァー曲など、本作ならではの試みと合わせて、KIRAさんとの「最後のグッバイ feat. SHINGO★西成」などは、ラヴソング的でありつつ、かつての仲間と違う道を歩むことになったTAK-Zさんの心情を映したものですよね。


TAK-Z:それを裏で匂わせられたらなっていうのはありましたね。「この路へと」とか「Hello Tomorrow」にしても最後は一本道でつながるかなってところで、別れの歌だけど、自分のライフスタイルの中での別れや出会い、スタートにもつなげていけたらなと思って。


――TAK-Zさんの今の状況とリンクするからこそ、聴く側もよりリアルに感じるんじゃないかと。


TAK-Z:それを感じてもらえたら一番うれしいですね。結局、なんでもネガティブなまま終わりたくはなくて、悲しい歌でも自分の中では未来につなげるようにしてますからね。


――そういう意味で「Stardeligt」や「STARDOM ANTHEM」は、未来に向けた強い気持ちが表現された曲ですよね。


TAK-Z:「STARDOM ANTHEM」は自分らの志、意思表示なんですけど、「Stardelight」も自分から仲間、STARDOM RECORDSのメンバーに向けて書きました。サビは言いたいことを詰めこむことが多くって、今まで同じ言葉を連呼する曲を歌ったこともなかったんですけど、それも楽しかったですね。


――今回、初のカヴァー曲にも挑んでいますが、ベン・E・キングの「Stand By Me」を選んだ理由は?


TAK-Z:昔ボイトレをやっていたときに、初めて先生に「歌え」って言われた曲で、カヴァーに挑戦するなら「Stand By Me」を歌いたいって言っていた矢先にベン・E・キングが亡くなったんです。プロデューサーの774くんから届いたオケに「Stand By Me」のフレーズが入ってたのもガイダンスを感じて、やっぱりカヴァーするなら「Stand By Me」だって直感で思いましたね。


・「今回のアルバムは“ガイダンス”って言葉が一番ハマる」


――敬愛するジャマイカのアーティスト、ピンチャーズとの共演が実現した「BOOM SALUTE」にも個人的な強い入れが強いと思うんですが。


TAK-Z:夢のまた夢だったというか、アルバムの中で一番思い入れが強いかもしれないです。これは自分がピンチャーズのフロウもカヴァーしていて、ただただピンチャーズが一番好きなアーティストだっていう曲を書いて、関係者だけに送ったのがきっかけだったんです。それをジャマイカ在住のコーディネイター、オカマイさんがピンチャーズ本人に聴かせてくれたんですよ。それでいきなり本人に電話を代わられて(笑)。そしたらピンチャーズがすごいベタ褒めしてくれて、この曲はコンビネーションにして、リリックはこう歌えとか、ピンチャーズ自身が仮録りしたトラックを送ってくれたりとか、ジャマイカ人にはめずらしい真面目なアーティストでした(笑)。


――さらに、三木道三改めDOZAN11さんがプロデュース・客演で参加した「VERY VERY HAPPY」や、JUMBO MAATCHさんとの「痛みの手紙」といった曲も。


TAK-Z:JUMBO君とは前に「君だけの-not an easy road-」っていう前向きな曲を一緒に歌わせてもらって、その時も心の底をえぐるようなリリックを書いてくれたんですけど、次はそれと真逆のJUMBO MAATCHが見たくて。政治的なことも言いつつ、最後はポジティブな曲になってます。三木くんとの曲も、初めはピンの曲で別れと出会いっていうテーマで書いてたんですけど、オケ的になかなか三木くんがハマらなくて(笑)。スタジオワークでも、マンガ読んだり、しゃべったり、そして寝ちゃったり……「じゃ、またな!」みたいな感じが5回ぐらい続いたんですけど(笑)、「VERY VERY HAPPY」のリディムを聴いたら三木君がピンときたのがわかって、それから一気に制作が軌道に乗りましたね。


――改めて今回の『Stardelight』どんなアルバムになったと思いますか?


TAK-Z:今回のアルバムは“ガイダンス”って言葉が一番ハマるぐらい、いろんなところから導かれた作品で、とても納得いくものを作れたと満足しています。聴く人にはフューチャーを感じてもらいたいし、「キミノミカタ」にしてもそうなんですけど、周りにはみんないるし僕もいるよっていうのを感じてもらいたい。自分らしい作品になったと思うので、アルバム一枚を通した流れで聴いてほしいですね。


――本作に続いて、10月には仙台、東京、福岡、広島、そして大阪を回るワンマンツアーも予定されてるそうで。


TAK-Z:ワンマン・ライブのツアーは初めてなんですけど、ワンマンのステージは生き様を見せられる場所。TAK-Zを丸々感じてもらえるライブにしたいと思っています。(一ノ木裕之)