ホンダF1プロジェクトの新井康久総責任者が、サマーブレーク明けのベルギーGPでトークン(開発ポイント)をいくつか使用した新スペックエンジンを投入する計画であることを明かした。
今季ホンダはパワーユニットマニュファクチャラーとしてF1に復帰、マクラーレンと共に頂点を目指して戦っている。しかしマクラーレン・ホンダは信頼性、パフォーマンスの両方において苦労し、前半戦10戦のうち2台合計でリタイアが11回、17ポイント獲得でコンストラクターズ選手権9位に沈んでいる。
しかしハンガリーGPでは他車のアクシデントやトラブルに助けられる形ではあったが、フェルナンド・アロンソ5位、ジェンソン・バトン9位と、今季初のダブル入賞を成し遂げた。ホンダはさらなるパフォーマンス向上を目指し、次戦ベルギーGPにトークンを使用した新スペックエンジンを投入することを明らかにした。
ホンダはカナダで開発トークン2を使用したアップグレード版パワーユニットを導入、今季使用できるトークンは残り7となっている。
「ハンガリーは技術的に見てひとつのきっかけになりました」と新井康久総責任者はホンダF1公式サイトのインタビューにおいて語った。
「エンジニアたちは、ハンガリーに持ち込んだPUを、各ドライバーのドライビング特性や路面状況に合わせて最高のパフォーマンスが発揮できるようセッティングしてくれました。ハンガロリンクはPUにとって慌しいコースで、コーナー毎に微妙な出力調整が求められます。これは言葉で表わせるほど簡単なものではありません。後半戦に向けては、我々の進化の再確認の場となるでしょう」
「また、信頼性の問題はすでに解決済みですので、これからは出力アップに全精力を注ぎます。夏休み明けには残り7つのトークンのうちいくつかを使い、新しいスペックのエンジンを投入します」
トークンはどの部分に使うかという質問に対し、新井総責任者は次のように答えている。
「燃焼が最も重要なポイントです。現行ルールでは高効率な燃焼が必要なので、燃焼室を変更し、給排気システムのレイアウトを変えることで、燃焼特性を向上させます。また、フリクションの低減も図るため、燃焼系の改善とともにギヤトレインの変更も行っていきます」
「すべてのアップグレードをベルギーGPで投入するのではなく、いくつか段階的に入れていきます。後半戦はレースごとに向上していく計画です」
すでに2016年のために力を注いでいるものの、当面はシーズン後半の戦いに集中し、表彰台争いに加わることを目指したいと新井総責任者は語った。
「16年シーズンを見据えてはいますが、まず2015年の後半戦について集中しています。16年もレギュレーションは変わりませんので、16年に向けたアイデアも、可能であれば今年中に投入していきます」
「残念ながら今後も(PUエレメント交換による)ペナルティを受けてしまうとは思いますが、車体、PU双方が大幅なパフォーマンス向上を果たします。スパ以降は、レースを重ねるごとに改善していき、表彰台を争える位置を目指し、レースに挑みます」