エン・ジャパンは「ミドル人材の市場価値を判断する際に重要なポイント」について、転職コンサルタント123名から回答を得た。最も多かった回答は「人間性」で41%。以下「スキル」(32%)、「仕事の成果」(27%)が続いたという。
ミドル人材とは、35歳以上の転職希望者のこと。エン・ジャパンでは人手不足の深刻化で「35歳転職限界説は崩壊した」と言われているものの、会社から必要とされるためには市場価値を高めておくことが重要になるため、調査を実施したという。
有名経営学者も「ヒューマンスキルの重要性」を認識
転職においては一般的に「専門性が何よりも大事」と考えられているが、現役の転職コンサルタントは必ずしもそう考えていないようだ。
ただし「人間性」と聞くと、人柄や人間力のような漠然とした、業務に必要な能力とかけ離れたものを思い浮かべてしまう。そこで米経営学者のロバート・カッツが1955年に提唱した「ヒューマンスキル」と同じようなものと考えると、うまく整理できるかもしれない。
カッツはマネージャーに必要な能力を「テクニカルスキル(業務遂行能力)」と「ヒューマンスキル(対人関係能力)」、「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」の3つに分類した。
そしてマネジメントが「ロアー(監督者層)」から「ミドル(管理者層)」「トップ(経営者層)」へ上がるにつれて、テクニカルスキルの比重が減り、コンセプチュアルスキルの比重が増えると指摘する。
興味深いのは、マネジメントのどの層においても「ヒューマンスキル」の比重は変わらず高いことだ。この点は転職コンサルタントが「専門スキルや自分の成果が高いだけではダメ」と回答している内容と一致している。
ヒューマンスキルの内訳は「コミュニケーション」や「セルフマネジメント」「リーダーシップ」と言われるが、要するに35歳を過ぎたら部下を使った組織運営で成果を上げられなければ、他の会社から高く評価されないと考えてよいだろう。
役職にこだわりすぎるな。求められる「変化への適応力」
なお、エン・ジャパンの転職コンサルタントが人間性の中で最も重視した要素は「変化への適応力」で45%(複数回答)を占めている。これはセルフマネジメント能力の一部と考えてよいだろう。回答者からは、
「これまでいた会社の文化ややり方から抜けられない人は難しいため」
「待遇や役職にこだわりすぎる方が非常に多く、自分の実力を過大評価している。どんな環境でもやり遂げられる人間性であれば、市場価値が高いと判断している」
といったコメントが寄せられている。
また、市場価値を高めるために意識したほうがよいことについては、業務面では「マネジメント経験・マネジメント視点を持つこと」、業務以外では「人脈づくり」というアドバイスが寄せられた。具体的なコメントには、
「自分だけが良い成績や実績を残してもミドル以上の年齢は所属会社からも転職市場からも評価されない」
「社内での価値は社外では通用しない事を知る機会を作って欲しい」
といった厳しい意見も見られる。
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