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父の遺品の「レコード5000枚」が250万円で売れた! 相続税を払う必要はある?

2015年08月04日 11:21  弁護士ドットコム

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父親の遺品のレコードを売ったら合計250万円になった――。ネット掲示板で、そんな投稿が話題になった。


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投稿者によると、父親は生前、レコードの収集家で、LPが3000枚、シングル盤が2000枚、合計5000枚近くを所有していたそうだ。遺言で「俺が死んだらレコード売れや。結構いい小遣いにはなるぞ」と言って、売る方法と店のメモを投稿者に渡していたという。



投稿者は「とりあえず家族6人で焼き肉に行ってきたった」とほくほくの様子だが、「遺品にも相続税ってかかるの?」と、税金のことが気になるようだ。親の遺品のレコードを売ってお金に変えた場合、税金はかかるのだろうか。足立仁税理士に聞いた



●相続税は、遺産全体をもとに計算する


「遺品を整理していたら、故人の趣味の品が発見され、それが高価そうなものだった場合、税理士に相続税のご相談をいただくことはしょっちゅうあります。



多いのは書や絵画などの美術品ですが、レコードコレクションも、250万円もの高値で売却できるほど貴重なものであれば、やはり相続税の対象になってしまうので、注意が必要です」



足立税理士はこのように述べる。どんな場合に税金を払う必要があるのだろう。



「まず、相続税というのは個々の財産に対して計算されるのではなく、相続財産全体の金額をもとに計算されます。



故人が遺した不動産や預金に、その他の財産を加えた遺産の総額が、『基礎控除』と呼ばれる金額ラインを上回るようであれば、相続税の申告が必要になります」



基礎控除の額は、どうやって計算するのだろう。



「基礎控除の計算式は、『3000万円+相続人の人数x600万円』です。



たとえば、相続人が、妻・長男・二男の3人であれば、3000万円+3人x600万円=4800万円が基礎控除となります。遺産の総額がこれ以下であれば、特に相続税を気にする必要はありません。



基礎控除額を超えた場合は、控除額を超える分について、遺産の総額や相続人の人数に応じて、最低10%から最高55%の範囲で課税されます」



今回のケースでも、不動産など他の遺産の金額と、レコード分の250万円を合わせて、基礎控除の額以下であれば、相続税を支払う必要はないというわけだ。



●売却益に所得税と住民税がかかる


他にどのような税金がかかるのだろうか。



「相続した趣味の品を売却した場合は、売却益に対して所得税と住民税がかかります。特に、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個あたり30万円を超える品を譲渡(売却)した場合は税金を申告しなければいけません。



しかし、生活に通常必要な動産の売却の場合は非課税です。レコードコレクションが、生活に通常必要な動産かどうかの判断は難しいところですが、250万円もの高額で売却できたとなると、その中には1枚で30万円を超えて、税金の申告が必要なレコードもあったのかもしれません」



どのように計算するのだろうか。



「売却益だけに税金が課せられるわけではなく、売却益と、給与やその他の所得を合算して申告する必要があります。



税率は、所得税と住民税を合わせて、約15%から約56%です。特に、給与収入が多い方は、適用される税率が高くなりますので、売却益についても、それなりの税額を覚悟する必要があります」



足立税理士はこのように述べていた。



【取材協力税理士】


足立 仁(あだち・じん)公認会計士・税理士


東京大学経済学部卒業。税理士法人ファザーズ代表社員として、多くの資産家・企業経営者の顧問を務める。2013年より日本公認会計士協会東京会幹事。


事務所名:税理士法人ファザーズ


事務所URL:http://souzokuzei.or.jp/



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