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「アウディはDTMで戦争を始めた」。メルセデス若手のウェーレインが激怒

2015年08月03日 21:10  AUTOSPORT web

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DTM第10戦でのアウディ陣営の姿勢を痛烈に批判したパスカル・ウェーレイン
メルセデスからDTMドイツツーリングカー選手権に参戦しているパスカル・ウェーレインは、2日に行われたシリーズ第10戦におけるアウディ陣営の姿勢を痛烈に批判した。一方のアウディは、アウディスポーツを率いるヴォルフガング・ウルリッヒが釈明に追われた。

 2日にレッドブルリンクで行われた第10戦の決勝レースでは、アウディのマティアス・エクストロームがポール・トゥ・ウイン。一方、後方の6位争いでは最終周に波乱があった。ここでは6位のポジションを巡って、ロバート・ウィケンス(メルセデス)に続き、ティモ・シャイダー(アウディ)、ウェーレインの3台が終盤まで僅差のバトルを展開していた。

 そんな中、ウェーレインが最終周の2コーナーで一気に2台をかわして6番手に浮上するが、8番手に後退したシャイダーが、3コーナーへの進入でウィケンスのリヤに接触。これにより姿勢を乱したか、ウィケンスも目の前のウェーレインにヒットし、そのままウィケンスとウェーレインはグラベルの餌食となってレースを終えた。一方、シャイダーは6位でチェッカーを受けた(その後失格)。さらにこの接触の直前、シャイダーにはラジオで「彼を押し出せ」との指示がドイツ語で送られており、これが中継にも乗ったため、波紋を呼ぶこととなった。

 シャイダーは、「あの時指示があったことはレース後にビデオを見て知ったんだ。ドライビング中は何の指示も聞こえなかった」と、指示に従った故意の行動であることを否定しているが、押し出されてマシンを降りることとなったウェーレインは、「最終ラップについては非常に明白だ」と怒りも露わにコメントしている。

「僕はシャイダーとウィケンスを接触なしにオーバーテイクした。フェアな戦いだった。ただ、3コーナーまでに後ろから大きな衝撃を受けたんだ」とウェーレイン。現在20歳のウェーレインは、F1でメルセデスのリザーブドライバーも務めている。

「僕がマシンを降りるときには、それがシャイダーによるもので、ロバートのせいではないということをすでにエンジニアから聞いていた」

「今リプレイを見たけど、彼は『押し出せ』という指示を無線で受けていた。それは明らかなことだ」

「仮にアウディがこんなことをしてまでチャンピオンシップを勝ち獲る必要があるなら、彼らは今日大きな戦争を始めたと言うことができるだろうね」

「これが大きな影響を及ぼせばといいと思っているし、アウディが始めたこの状況についてみんなに書き立てて欲しいと思っている。そして来週には、誰もアウディを買わなくなればいいさ」と、メルセデス若手のホープはアウディの姿勢を強い口調で非難した。

 ちなみに、ウェーレインは土曜日の第9戦を終えた段階でランキング首位に浮上していたが、第10戦を終えて3位に後退。仮に第10戦を6位でフィニッシュしていた場合、エクストロームとは9ポイント差の2位につけているはずだったが、実際には17ポイント差の3位となった。

 一方、アウディスポーツを率いるウルリッヒはレース後の記者会見でこの指示について、自身の無線はドライバーたちとは繋がっていないとして、自らの関与を否定した。ただその後、アウディ陣営はリリースを発行。ウルリッヒはその中で、無線は自身から発せられたことを認めて謝罪し、その経緯を説明した。

「ロバートとパスカルをグラベルに追いやることが私の意図ではなかったことは間違いない」と、ウルリッヒ。

「私があのように叫んだことを謝罪する。『ティモ、彼を押し出せ』というのはコマンドポストにいた私の内なる感情だったんだ。私はレース中にドライバーたちと無線でコミュニケーションを取っていないし、無線がつながっていることも知らなかったんだ」

「これはあらゆる意味においてティモへの指示ではなかった。この発言に関して、私はメルセデスに謝罪をすることしかできない」

「あのような発言は私のモータースポーツに関する考え方を反映したものではない。あの瞬間の感情の高まりによるものだったんだ」