GAZOO Racing 86/BRZ Race第5戦オートポリス 優勝した山野直也 激戦続くGAZOO Racing 86/BRZ Raceのシリーズ第5戦が、オートポリスを舞台に8月1~2日に開催された。プロフェッショナルシリーズでは山野直也(CABANA P.MU 86)が、そしてクラブマンシリーズが遠藤浩二(CG ROBOTかえる君BS86)が、それぞれポール・トゥ・ウインを達成している。
シリーズはいよいよ後半戦に突入するとともに、今年初めて海を超えて九州のオートポリスが第5戦の舞台となった。プロフェッショナルシリーズは今回と次回の十勝ラウンドは、ボーナスポイントとして5割増の加算となるためエントリーが普段より少ないとはいえ30台を超えたものの、クラブマンシリーズは8戦中4戦有効の代わりにボーナスポイント制度が採用されていないため、わずか13台のエントリーに留まった。
プロフェッショナルシリーズでは、山野が昨年の最終戦以来となるポールポジションを獲得。「久々に来ました! 今回からクルマを徹底的にリフレッシュした効果があったのと、ブリヂストンのタイヤのおかげです。それと一番に並べたのも良かったんでしょうね。クリアラップはしっかり取れたし、コースもクリーンだったし。ここんとこパドックの位置の関係もあって、そういうのもでき難くなっていたから、重要なんだなと改めて思いました」と、復活に上機嫌。同じBSユーザーの大西隆生(オートバックスG6 86ポテンザ)が2番手につけ、上位を独占するかと思われた一方で、ヨコハマユーザーの谷口信輝(KTMS 86)と近藤翼(神奈川トヨタ☆DTEC86R)が3~4番手につける健闘も見せた。5番手はグッドイヤーユーザーの服部尚貴(OTG GY 86)が獲得している。
決勝レースは、予選に引き続き暑さ厳しき状況の中、好スタートを切ったのは山野だった。一方、「何とか大西はかわしたい」とレース前に語っていた谷口は、強烈なけん制のあまり5番手まで後退を喫し、近藤を2番手に、さらに服部も4番手に押し上げてしまう。
ひとり逃げる山野に対し、2番手争いは激しく、3周目までは谷口までの4台が縦一列。しかし、「やらかした」と語る服部を、まず4周目に谷口がかわして4番手に。その勢いのまま大西にも迫った谷口は、6周目には3番手に浮上する。だが、それ以上は望めなかった。近藤が鉄壁のガードで、谷口を最後まで抑え続けたのだ。
そんな後方の激しいバトルの間にも、自らはタイムを大きく落とすことなく、山野が逃げ切って2年ぶりの優勝を飾ることに。「嬉しい~。しばらく勝っていませんでしたからね。まずはスタートが良かったのと、後ろで最初からやり合ってくれたのが大きかったですね。僕は最後までタイムが落ちなかったから、BS勢で上位独占かと思っていたけど、案外ねぇ……」と語った山野。
その言葉どおり、阪口良平(AREA86倉敷)こそ予選よりひとつ順位を上げて、4位でフィニッシュしたが、大西は5位まで順位を落とし、躍進に期待がかかっていた佐々木雅弘(asset・テクノBS86)が予選よりふたつ順位を上げた6位、これに3ポジションアップの蒲生尚弥(ASICS Blue 86R)が続くに留まった。
何より今回の殊勲賞は、2位でゴールの近藤だ。「スタートは狙っていました。前でやり合っているところを、うまくインからすり抜けられましたから。最後は谷口さんのチャージがきつかったんですが、何とか凌げて良かったです」と笑顔で語った。谷口は3位でゴールも、オートポリスを制して全コース制覇の野望は、来年以降に持ち越されることとなった。
一方、クラブマンシリーズで焦点となったのは、ランキング上位陣と地元ドライバーの対決。特にポイントリーダー小野田貴俊(N東埼玉T埼玉KND2和光86)にはオートポリスの走行経験がないため、動向が大いに注目された。
予選の序盤トップは橋本洋平(カーウォッチ86ポテンザED)で、計測1周目の2分17秒233がタイミングモニターの頂点にしばらく記されたものの、これをセッション半ばに唯一上回ったのが遠藤だった。2分16秒367と橋本をほぼ1秒上回って、ポールポジションを獲得する。一方、小野田は3番手につけ、ランキング上位陣としての貫禄を示したものの、4番手は宮崎の原俊平(86)、5番手は山口の篠田義仁(カーセレクトCLUB-BRZ)、6番手は熊本の佐野新世(SKAD×TMR×Hデザイン86)、7番手は北九州の小山幸一郎(NTK86 Racing)がつけ、地元ドライバーの意地を見せた。
決勝レースでは遠藤が好スタートを切り、1周目だけで2番手に1秒8もの差をつけることに。その2番手につけたのは小野田で、橋本はスタートでひとつ順位を落とす。原は4番手をキープ。そのまま逃げ続けた遠藤に対し、3台での2番手争いが激しく、中盤からは原が遅れを取るも、小野田と橋本は徐々にトップとの差を詰めていく。そんな中、9周目のセクター3でバックマーカーが現れるが、これをうまく利用した橋本が小野田をかわして2番手に浮上。首位の遠藤はその間に逃げ切りを果たして今季4勝目を挙げた。
再びランキングのトップに立った遠藤だが、「序盤に飛ばし過ぎて、最後はタイヤもブレーキもギリギリでした」と苦笑いを見せた。橋本、小野田、そして原に続く5位は最終ラップのストレートで前に出た黒岩唯一(KUHL Racing黒ch 86)が獲得している。
(はた☆なおゆき)