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坂本龍一が音楽活動再開、復帰作は山田洋次監督『母と暮せば』劇中音楽

2015年08月03日 13:20  CINRA.NET

CINRA.NET

坂本龍一
坂本龍一が、山田洋次監督の新作映画『母と暮せば』の劇中音楽を手掛けていることがわかった。

中咽頭がんの治療に専念するため、昨年7月から音楽活動を休止していた坂本は、「このような大作が、病気からの復帰後第一弾の仕事なのですから、ぼくは本当に幸せ者です」とコメント。坂本が同作の音楽を担当することになったきっかけは、山田洋次監督と『母と暮せば』の主演・吉永小百合が、昨年4月に東京・池袋の東京芸術劇場で行われた坂本のコンサートを訪れたことだという。

『母と暮せば』は、井上ひさしが原爆投下後の広島を舞台にした戯曲『父と暮せば』と対になる長崎が舞台の作品を作りたいと願っていたことを知った山田監督が、井上の想いに捧げる形で制作する作品。1948年8月9日の長崎で、助産婦・伸子の前に3年前に原爆で亡くなったはずの息子・浩二が現れたことをきっかけに、過去の思い出話や浩二が遺した恋人・町子の話をして過ごす2人の日々を描く。

■坂本龍一のコメント
『寅さん』映画は、歳をとるほどに味わい深く感じられます。最近などはタイトルバックの江戸川が見えるだけで、涙目になってしまいます。もう帰ってくることのない昭和の日本への郷愁でしょうか。小津安二郎や成瀬巳喜男の映画にも共通のものを感じます。その山田洋次監督から、次回作の音楽を頼まれました。しかも吉永小百合さんが同席しています。この二人に何かを頼まれて断れる日本人がいるでしょうか。そして内容は井上ひさしさんの『父と暮せば』へのオマージュとして呼応するように、長崎が舞台となっています。核のない世界を望んでいるぼくとしては、これはやるしかありません。このような大作が、病気からの復帰後第一弾の仕事なのですから、ぼくは本当に幸せ者です。

■山田洋次監督のコメント
『母と暮せば』の企画を発想したとき先ずぼくの念頭にあったのは、主役は吉永小百合、音楽は坂本龍一、このお二人しか考えられないということでした。最初に吉永さんの承諾を得てそのあと、彼女と二人でコンサート中の坂本龍一さんの楽屋に押しかけ口づてで企画を話しました。彼の口から快い承諾の返事を聞いたときは本当に嬉しかったものです。坂本龍一さんと組んで仕事をするのは長年の夢でした。ぼくの頭の中にはすでに坂本龍一の美しい音楽が鳴り始めています。

■吉永小百合のコメント
昨年の四月、山田監督とご一緒に坂本さんのコンサートに伺いました。
坂本さんが『母と暮せば』の音楽を創って下さることになって、嬉しくて嬉しくて舞い上がっています。