ミド・オハイオで開催されているベライゾン・インディカー・シリーズ第14戦。1日に行われた予選では、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が得意のコースで躍進。コースレコードを更新しポールポジションを獲得した。佐藤琢磨(AJフォイト)は、Q1を突破できず16番手から決勝に挑む。
チップ・ガナッシ・レーシングはミド・オハイオでのインディカー・レースで10勝も挙げてきている。そのうちの5回がスコット・ディクソンによるものだ。昨年は作戦の妙もあって最後尾スタートから勝利したディクソンだが、今年は堂々たる戦いぶりでベストのスターティンググリッド、 ポールポジションを手に入れた。
予選は今回も3段階制で、ソフトタイヤ(レッドタイヤ)は各エントラントに2セットしか供給されない。このため、トップ6によるファイナルセグメントはユーズドレッドでの戦いとなっていたが、ディクソンは1分4秒5814という素晴らしいラップタイムを記録。ウィル・パワー (チーム・ペンスキー)も1分4秒6782をマークしたが、0.0968秒の差でディクソンのPP獲得がなった。
ミド・オハイオのコースレコードは、CART時代から生き残って来ているものだった。1分5秒347は、1999年にダリオ・フランキッ ティが記録し、翌2000年にジル・ド・フェランが1000分の1秒まで同一のタイムを記録した。それが今日の予選では大幅に塗り替えられた。エアロキット装着によって、ラップタイムの向上が実現されたのだ。
ポイントで3位につけているディクソンには、逆転チャンピオンの可能性がまだまだ十分に残されている。明日のレースで優勝すれば、残り2戦に向けて勢いもつく。
開幕戦の優勝以来ポイント・リーダーで居続けているファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)は、金曜日のプラクティス2回は両方とも 21番手と低迷していたが、今日のプラクティス3回目には予選用にモードをスイッチし、7番手まで急浮上。予選では10位という結果を得た。
ディクソンとモントーヤの間には、上記のパワーが2番手で入り、3~9位にはセバスチャン・ブルデー(KVSHレーシング)、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)、ジョセフ・ニューガーデン(CFHレーシング)、キンボール、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、トニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング)、そしてルカ・フィリッピ(CFHレーシング)が入った。ホンダ勢最速はハンター-レイによる7位だった。
ポイント2位につけているグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、地元州オハイオ、それも生まれ故郷のコロンバス近郊のホームコースでの戦いだというのに、予選では第1セグメントでの敗退を喫した。6人が第2セグメントに進出できるが、7位とギリギ リで届かなかったのだ。彼のスターティンググリッドは13番手となる。
佐藤琢磨は予選16位だった。予選直前のプラクティス3で1分5秒8231の自己ベストを記録していた琢磨だったが、予選ではレッドタイヤ装着によるゲインを0.3秒以下と小さかったことから、自己ベストを更新することはできたものの、1分5秒5933という数字で第1セグメントのグループ2での8位となり、明日のレースには8列目外側の16番グリッドからスタートを切ることとなった。
「ほんの小さな差で第2セグメントに進めませんでした。しかし、明日のレースに向けては良いデータが得られています。オーバーテイクの簡単な コースではありませんが、レッドタイヤも新品が2セットありますし、上位に上がっていけるよう頑張ります」と琢磨は語っていた。明日のレースは 彼にとってインディカーでの通算100レース目となる。
「ポールポジションはターゲット・カーのものとなった。カーナンバー9とこのコースは最高のコンビネーションだということ。ポールを決めたラップではふたつミスがあった。ターン2とターン12でのことだった。それでもポールが取れたんだから嬉しい。土曜日だというのに、ターン4~5はすでに満員のお客さんだった。そういう風景を見ながらの走行は本当に気持ちがいい。明日のレースはチャンピオンシップを意識してではなく、優勝をめざして走る」とディクソンは語った。
予選2位だったパワーは、「このコースでのディクソンは本当に速い!」とライバルを讃えていた。「それでも、明日のレースで僕が勝てたらいい。 全部の要素が自分たちの方にプラスに働けば、勝つことは十分に可能だ。チャンピオンの可能性だって残されている」と話した。
モントーヤは、「実を言うと昨日はエンジンにトラブルが出ていたんだ。1セッションすべてが走れなくなる危機に陥っていた。それで完全に遅れを取ったのを、今朝のプラクティスで大きく挽回した。チームが本当に頑張ってくれたおかげだ。予選の第1セグメントでは大アンダーステアに悩まされ、第2セグメントでもまだその対策が十分じゃなかった」とコメントした。
(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)