2015年08月02日 10:01 弁護士ドットコム
夏休みのシーズン。会社員はお盆の時期を中心に休みを取ることが多いが、なかには、盆休みと正月休みについて「有給休暇」をあてるように指示する会社もあるようだ。そんな会社に勤める人が、ネットの掲示板に、同僚の「不満の声」を書き込んでいた。
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この同僚は、前の職場では、年間の有給休暇とは別に、正月とお盆に1週間のリフレッシュ休暇をもらっていた。しかし、今の職場では、有給休暇をあてるようになっているため、「信じられない!」と不満を口にしているそうだ。
投稿者は「前の職場がよすぎたのか、うちの職場が異例なのか」と頭を抱えている。この会社のように、盆休みや正月休みに有給休暇をあてるようにしても問題ないのだろうか。社員は「リフレッシュ休暇」のような特別な休暇を要求できないだろうか。石川清隆弁護士に聞いた。
「労働契約から見ると、有給休暇は、就労義務のない『休日』については成立しません。そして、社会的な慣習である盆暮れや正月を『休日』とするか、『就労日』とするかどうかは、就労規則で定められることになります。
ですから、たとえば、元旦やお盆を休日とせず、形式的には『就労日』だけれど、計画年休(有給休暇)の対象として、年休日とすることは、論理的には可能なことです」
今回の不満の声については、どう考えればいいのだろうか。
「ご不満のように、『前の職場が良すぎたのか』と思われるように、実際に会社が稼働していない正月等をわざわざ就労日として、年休を取らせるということは、何か感覚的におかしいものだと思われます。
ただ、小売業などに見られるように、元日から店をオープンせざるを得ないなど社会生活上の変化があり、そのような正月にわざわざ計画年休を付与するというのも、逆におかしいことになります。
また、有給休暇が法定の発生要件と日数を超えているのであれば、別にリフレッシュ休暇を要求することは、労働組合の要求としてはできても、個別従業員の権利の要求としてはできません。ただし、社会全体で眺めたとき、有給休暇日が減ることで個人消費の増大という経済的プラス要素が損なわれることは、経営側も十分に考慮しなければならないと思います」
石川弁護士はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
石川 清隆(いしかわ・きよたか)弁護士
第一東京弁護士会所属。労働問題を専門に取り扱う。
事務所名:石川綜合法律事務所
事務所URL:http://kiyotaka-ishikawa-law.com/profile/