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動画デビューからわずか3年 海外でも話題の次世代ボーカリスト・れをる、最新作の中毒性とは

2015年07月29日 18:11  リアルサウンド

リアルサウンド

れをる

 動画デビューからわずか3年、動画共有サイトの総再生回数は約5000万回に及び、絶大な人気を誇る次世代ボーカリスト=れをる。その歌声は無垢な少年を思わせるようなイノセンス、一方で突き刺すような鋭さを備え、海外にも“中毒者”が続出中。時に過激で、言葉が音に乗って転がる作詞センスも高く評価されている。


 そんな彼女が7月29日、待望の1stフルアルバム『極彩色』をリリースした。これまでもネット発の超人気曲「ギガンティックO.T.N」「LUVORATORRRRRY!」でコラボしてきた気鋭の作家・ギガとの共作曲を始め、L.Petty、かめりあ、niki、monaca:factory、EZFG、takamatt、やいり、梅とらといった、ネットの音楽シーンをにぎわすクリエイター陣の提供曲を収録。ロックでトランシーな作品に仕上がっている。


 表題曲の「極彩色」(Music/Arranged:ギガ Lyrics:れをる)を聴けば、本作の魅力がつかめるだろう。冒頭からゴアトランスを思わせる曲がるサウンドが耳を奪い、サイケデリックな世界観を広げていく。それでいて<溢した涙はきっと君の明日を潤す><迎撃せよ 凛々しく明日を射て>と、力強くリスナーを鼓舞するキラーチューンだ。ストレートでありながら、どこか憂いを帯びたボーカルも光っている。


 サビのハイトーンボイスが印象的な「ロジックエージェント」(Music & Lyrics/Arranged:niki)、多くを求め、もがき続ける生き様を歌い上げた「MONSTER」(Music & Lyrics/Arranged:梅とら)と、エッジの立ったロックナンバーも見逃せない。


 提供曲を並べて聴けば、クリエイターたちが「れをる」というボーカリストをどう捉えているかがよく分かる。ネットではネタ曲、可愛らしさが際立つ楽曲も歌い、それも大きな魅力になっているが、本質はロックボーカリストだ。昨年12月にニコニコ動画にアップロードされ、ミリオン再生を超える大ヒットを記録している人気歌い手のコラボ曲「Connecting」(halyosy)でも、れをるは最も勢いのあるロックなパートを担当しており、その“カッコかわいさ”でリスナーを魅了していた。


 一方、彼女の豊かな表現力に触れられるのが、最終曲「染」(Music & Lyrics:れをる Arranged:ギガ)だ。愛した人との時間を叙情的に描いた歌詞は出色の出来で、過去を愛おしみながら、どこかでそれを振り切るような芯の強さも感じるボーカルに聴き入る。


 どの曲も尖った印象だが、アルバムとしてひとつの世界観を構築できているのは、ボーカリスト・れをるの強烈な個性ゆえだろう。アートワークには気鋭のクリエイター、お菊(映像・デザイン)、望月けい(イラスト)を起用しており、ビジュアルの面でも「極彩色」というコンセプトが徹底されている。初回限定盤に付属するスリーブケースにも人気が集まりそうだ。


 ちなみに、YouTubeにアップされたクロスフェード動画には、アメリカ、フランス、ドイツ、中国、韓国など、海外からのコメントも多く、「人生に必要な一枚だ」(Need this in my life)、「神曲が多すぎる」(神曲一大堆)と絶賛されている。言葉は分からなくても伝わる音楽としての強度が、本作にはあるということだろう。


 その歌声を生で聴きたい、という声は高まるばかりだが、れをるは8月23日(日)より、本作を引っさげたインストアイベントを各地で開催する予定。そして10月23日(金)には、待望の1stワンマンライブ「れをる単独公演 極彩色High Fidelity 東の宴」(東京・TSUTAYA O-EAST)を開催するという。チケットは一般販売に先駆け、『極彩色』の購入者を対象にした先行予約(抽選)が行われる。本作をじっくり聴きながら、盛り上がること必至のライブに思いを馳せたい。


(文=橋川良寛)