第2子以降を出産して育児休業を取得した母親に対し、保育園に預けている0~2歳児の上の子どもの退園を求めるルールを導入した埼玉県所沢市。これに反発する母親たちは今年6月、「市の運用は違法」として退園の差し止めを求める仮処分を申し立てていた。
報道によると、さいたま地裁はこの申し立てを却下する決定を7月28日までに下したようだ。保育の継続が必要と認めた親には、市が在園継続させる方針を示していることをあげ、「これを適正に適用すれば法の趣旨に反する事態は生じない」と結論付けたという。
「こうやって少子化がすすんでいくんだね」という声も
決定に対するネットの反応は、賛否が拮抗しているようだ。決定を不満とする人からは、「少子化を促すだけなんじゃないか」という声があがる。
「ふーん、こうやって少子化がすすんでいくんだね。せっかく2人目3人目を生む意識のある人がいるのに、もったいない」
国が少子化対策を打つ一方で、市レベルでそれに逆行する運用をしていると感じた人もいたようだ。ルールどおり一時退園しても、育児休業終了後に確実に復園できるのか不安を抱く人もいた。
一方で、保育園に子どもを預けられず仕事探しもままならない母親がいることを踏まえて、「優先順位を考えれば当然の判断だと思う」と決定を支持する人も少なくなかった。
「良かった。これで待機児童は入園できて、その親が働くことが出来る」
「待機児童の問題が現にある以上、保育に欠けていない児童は優先されないというのは妥当なんじゃないかな」
育休中の母親には「育児休業給付金」が支払われ、収入の一部が保障される。このため育休を取得した人は子どもを保育園に通わせる必要がない、という厳しい指摘も出ていた。
「育児休業しているなら、保育園に通っている自分の子供も自分で育てろよ」
「保育園は育児サービスじゃなくセーフティネット。この判決(決定)は正しい」
反論「ユートピアな理想論では受け入れられない」
また、現状について「(保育所が)足りないのがすべての(問題の)根源」とし、「予算増やすことはなぜ出来ないのだろう?そこが不思議」などと素朴な疑問を投げかける人も。
ただし所沢市としても、急速な少子化が予想される中で保育所の大幅な増設に踏み切ることもできず、予算上の制約も大きい。楽観的な「増設要求派」に対し、反対派から冷ややかな声も聞かれる。
「ユートピアな理想論だけ語っても受け入れられるわけないよ」
なお裁判所は、市が一定の要件を満たした場合に「在園継続」を認めていることを評価している。所沢市のウェブサイトには、育休退園せず保育を継続できる事由として「出生児の疾病」「出産した母親の疾病、障害」「多児出産」など5つの項目があげられており、保育環境が困難な母親への配慮が行われるようだ。
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