福井県に本社を置くITベンチャー、オールコネクト社が都会で働くエンジニアやウェブデザイナー向けにIターン就職を勧めるプロジェクト「ど田舎IT就職」をスタートした。
同社は2005年設立、従業員数は300人。固定通信サービスのウェブ販売代行事業などを行い、年商は90億円にものぼる。東京にも支社を置いているが、従業員数の3分の2以上は福井市の本社に勤務している。平均年齢も28歳と若い人が多いようだ。
9月に体験合宿を実施、県内の衣食住スポットを紹介
プロジェクトの趣旨が「ど田舎IT就職」の公式サイトで説明されている。従来のIターン就職といえば、農業などの一次産業や伝統産業に就職することを前提したものが多かった。
そんな中、同社は福井という地方部に位置しながら、ITを使って首都圏や海外でも事業を展開。都会で身につけた技術を活かしながら、のどかな田舎で働くことができるのがポイントだという。
この働き方で募集するのは、業務システムの構築などを担当するエンジニアと、商品販売サイトの制作などを担当するウェブデザイナー、ディレクター。いずれも要経験で、年齢は35歳ぐらいまでが条件となっている。最大で10人採用する予定とのことだ。
ただし、都会からいきなり田舎で暮らすといってもハードルが高い。そこで、就職希望者には9月20日~21日に福井で1泊2日の体験合宿を行い、実際の環境を見てもらう。本社オフィスで社内見学やワークショップを行い、さらには福井県内の衣食住のスポットを案内する。交通費は各自負担となるが、参加費は無料だ。
1LDKの家賃が4万円「可処分所得が増えます」
プロジェクトを始めた背景について同社の広報担当者は、「人が足りないので募集をかけているのですが、優秀な人材はどうしても都会に行ってしまう」と事情を明かした。ならば逆に、都会暮らしに疲れた人に田舎に来てもらおうと考えたわけだ。田舎でバリバリ働きながら、のどかな暮らしを満喫してもらう新しいライフスタイルを提案することにしたという。
「都会だとオフィスを出ても周囲はビルばかりですが、こちらでは一歩出れば田んぼと山しかありませんので、すぐに気分転換が出来ます。海も車で一時間なので、毎週末に自然の中で遊ぶことができます」
公式サイトにはオフィス周辺をドローンで空撮した映像が紹介されているが、本当に一面が緑だ。一人暮らしができるアパートやマンションも少し離れたところにあり、自転車や徒歩で通勤する人も多いという。田舎なので家賃が安く、1LDKの部屋が4万円から借りられる。
しかも給料は、都会の同規模のITベンチャーと比較しても見劣りしない。経験者は月23万円からで、20代で年収500万オーバーの社員もいるという。自動車がほぼ必須という点はあるものの、生活費を安く抑えられるので、「都会よりも可処分所得は増えると思います」(広報)としている。
今後については8月22日に東京で、23日には大阪で説明会を行う。9月の体験合宿後に選考、内定となるが、不安が残る人は就職前にインターンシップをしたり、体験就職という形で最大半年間働いたりもできる。新卒の応募も受け付けており、そちらは同社の通常の新卒採用フローになるということだ。
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