2015年07月29日 11:51 弁護士ドットコム
「専業主夫になりたい」。そんな思いをつづった20歳の男子大学生の日記が、「はてな匿名ダイアリー」で話題になった。
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投稿者は「僕は家事がとても好きだし、おそらく専業主夫に向いてると自分で思う」という。ただ、「(女性は)専業主婦ルートが綺麗に舗装されていると思う。だけど、男にはそれがない」と考えているそうだ。「共働きでパートナーを助けるって感じが現実的なのだろうか」と述べていた。
この投稿者は、専業主「婦」に比べて、専業主「夫」のほうが不利だと考えているようだが、税金や社会保障などはどうなのだろうか。主夫のほうが不利だったりするのだろうか。益田あゆみ税理士に聞いた。
「税金の面では、専業主夫が、専業主婦に比べて特に不利になることはありません」
益田税理士はこのように述べる。
「みなさんがよく知っている配偶者控除は、正式な婚姻関係がある夫婦であることが要件ですので、男性・女性であることは関係ありません。
妻が働き、夫が家事をする場合でも、夫の所得が38万円以下であれば、配偶者控除を妻のほうで受けることができます。
ただし、所得の判定には、副業分も計算に含めますので、夫が株の投資をしているケースなどは注意が必要です。
また、妻が個人事業主で、夫が妻の下で仕事を手伝うというケースもあるでしょう。その場合、専従者給与として給与をうけるのか、配偶者控除の控除をうけるのかは、どちらか一方を選択することになります」
「社会保険でも、原則的には、専業主夫が不利になるということはありません。こちらも金額基準はありますが、妻の扶養として保険証を手にすることが可能です。
ただ、将来的なことを考えると、遺族に支給される年金(遺族厚生年金)で、妻と夫で異なることがあります。厚生年金に加入中の妻が死亡した場合、遺族厚生年金は、夫が原則55歳以上でなければ受給できません。また、支給開始は60歳からとなります。妻の場合、こうした年齢による受給制限はありません。
ただ、これは、制度が変更になるかもしれませんので、今後の動向に注意されるといいでしょう」
専業主夫について、どう考えるべきだろうか。
「私の周りでも『専業主夫』の家庭が存在しています。働き方が多様化しているので、夫婦や家庭の在り方も様々でいいと思います。
ただ、夫婦でよく話し合い、理解し合うことが大事だと思います。たとえば、仕事ばかりで家庭をかえりみない妻であれば、夫も不満が出るかもしれません。
『専業主婦がいい』とか『専業主夫がダメ』という問題ではないのかと思いますね。とはいえ、家族分の収入を稼ぐというのは本当に大変なことです。
私自身、働いて家族を養った時期があったことを思い出しました。『家族の分も稼ぐって本当に大変だな~』と感じたことがありますね」
益田税理士はこのように述べていた。
【取材協力税理士】
益田あゆみ(ますだ・あゆみ)税理士
東京都生まれ。高卒。通称“セラピスト税理士”。税理士業界にメンタルサポートを取り入れ、女性経営者の抱える悩みにこたえる経営相談を行っており、クライアントには女性起業家も多い。米国会計事務所に勤務経験があり、アメリカ税務の相談にも応じている。
事務所名 :益田税理士事務所
事務所URL:http://ayumi-office.com/
(弁護士ドットコムニュース)