ハンガリーGP決勝で、ニコ・ロズベルグの最後のタイヤ交換でソフトコンパウンドではなくミディアムを装着した理由を、メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフが語った。この選択によってロズベルグは勝利のチャンスを失ったと考えられている。
ルイス・ハミルトンとロズベルグはフロントロウを独占したが、スタートでフェラーリ勢に出し抜かれてリードを失い、ミスやアクシデントが重なって最終的にハミルトン6位、ロズベルグ8位と、表彰台にすら登れずに終わった。
レース終盤、バーチャル・セーフティカーが出動した際に行った最後のタイヤ交換でロズベルグはソフトタイヤを選べる状況でありながらミディアムを装着した。
ロズベルグはすでに2種類のタイヤを使用する義務を果たしていたため、最後のタイヤ交換で速さで勝るソフトを選ぶことが可能だった。しかしバーチャル・セーフティカーが導入された後、ピットに入ったロズベルグはミディアムタイヤに交換した。
その後に実際のセーフティカーが出動した後、リスタートでトップのセバスチャン・ベッテルを抜くチャンスが訪れたロズベルグだったが、ベッテルを狙うよりも逆にソフトを装着した後方のダニエル・リカルドに対する防御に専念しなければならなくなり、その挙句に接触が起こって後退した。
なぜメルセデスはソフトタイヤを選ばなかったのかと聞かれたウォルフは、その時点ではソフトでは最後まで走り切るには1周足りず、ピットで用意していたのはミディアムの方だったと答えた。
「きわめて不運な状況だった」とウォルフが述べたとSky Sport F1が伝えている。
「ウイングが破損したりアクシデントがあったりしてマシンが戻って来る場合に備えて、ガレージではタイヤを温めている。あの時はチェッカーまで27周か28周の段階だったので、プライム(ミディアム)タイヤを温めていた。バーチャル・セーフティカーが出動した時、ロズベルグはピット入口のコーナーふたつ手前にいて、すぐに我々の指示に従ってピットに入って来た。その時装着できる状態だったのはハード側のタイヤだったのだ」
「もし1周バーチャル・セーフティカー導入下で走っていたら、その間に我々は最後のタイヤをプライムからオプションにスイッチしていただろう」
「非常に不運な状況の中で間違ったタイヤを装着した。そうでなければオプションタイヤでニコが勝っていただろう」
最終ピットストップの前にロズベルグはしきりにミディアムタイヤを履きたいとエンジニアに訴えていた。しかしウォルフは最後のタイヤ交換を予定より早めずに済んでいたら、ソフトを使っていたと主張した。
「(ロズベルグの要求を)考慮したわけではない。今だから言えることだが、ヒーターに正しいタイヤを用意していたら勝てただろう」