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嵐・大野智のアートはどう進化したのか? 奈良美智も評価した作品群の背景を読む

2015年07月26日 17:40  リアルサウンド

リアルサウンド

『大野智作品集 FREESTYLE II』(M.Co.)

 嵐・大野智の約7年ぶりとなる個展「FREE STYLE2」が、7月24日より東京・表参道スペースオーで開催されている。今回は写真作品8点、フィギュアなど立体作品13点、映像作品1点、油絵など絵画6点など、計33点が展示されているほか、嵐のメンバーが書いた大野智の似顔絵も展示されている。グッズも充実しており、すでに各メディアで紹介されている愛らしいパグの絵をプリントしたTシャツや、キャンバス地にメガネをかけた少年の絵が描かれた置き時計、魚と人の顔を融合したような存在感溢れるフィギュアなど、さまざまなアイテムが販売されている。チケットはすでに完売しており、多くのファンが個展を訪れているようだ。


参考:嵐・大野智、初恋エピソードを赤裸々に吐露「本気で好きだったもん!」


 今回の展示に向けて、大野智は開催前日の23日に同所で記者会見に応じ、「もう7年もたってしまったという感じですね。前回、個展をやってから、かまえてしまって、描けない時期もあった。いろいろな葛藤があっての個展です。7年で絵のタッチも変わったし、自分で見ても変わったのが分かります」と語っている。(参考:日刊スポーツ/嵐、大野智7年半ぶり2度目の個展「葛藤あった」)


 実際、作品のタッチは以前に比べて軽やかになった印象で、よりポップに洗練された印象を与える。かねてより大野智と交流があり、作品へのアドバイスも与えてきた世界的アート作家の奈良美智は、自身のツイッターで今回の作品について「良い出来のもあるし、イマイチなのもある。良い出来のは、なんというか、美大を卒業してこれから作家としてやっていくような心意気を感じるような絵だった」と、その仕上がりを評している。


 大野智は昨年、デビュー15周年記念ハワイコンサート『ARASHI BLAST In Hawaii』の舞台裏に密着したドキュメンタリー番組『嵐 15年目の告白~LIVE&DOCUMENT~』(NHK)にて、「2006年くらいから、正直やめようと思ったの。この仕事をしていたら出来ないことに興味を持ち始めた。海外を放浪したくなっちゃった。単純に自由になりたいみたいな気持ちで、この気持ちのまま(メンバーとは)一緒にいれないなって。すごい葛藤していた」と、かつて悩んでいた時期の気持ちを明かしている。しかし、10周年を迎えた頃から徐々に心境に変化が現れ、いまでは自分が嵐の一員であることに感謝をしているようだ。また、今回の会見で「僕は仕事だけやってるとダメ。描くことでちょうどバランスが取れる。仕事が忙しくなると逆に描きたくなる。寝ないで描いていた方がストレス発散になるみたい」と明かしているように、いまの大野はやりたいことと仕事のバランスがうまく取れるようになったのだろう。


 奈良美智が今回の大野のアート作品から、作家としての新鮮な心意気を感じたのは、そうした大野の心境の変化が反映されているからではないだろうか。7月24日には『大野智作品集 FREESTYLE II』も発売しているので、彼の作品がどのように進化したのか、ぜひその目で確かめてほしい。(松下博夫)