転職の面接では、前職を辞めたことについて何かと前向きな理由が求められるものだが、「逃げ」で転職しても別に問題なし、という考え方に対し、ネット上で賛同の声が出ている。
話題になっているのは、人気ブログ「脱社畜ブログ」に7月23日に掲載されたエントリー。筆者の日野瑛太郎さんが最近、友人から転職の相談を受けた。話を聞くと、その友人は別に仕事内容に不満を持っている訳ではない。しかし、上司と絶望的に相性が合わないだけでなく、企業文化自体とも合っていない様子だったという。
「逃げ」の要素が一切ない転職なんて存在するのか
そのため、転職を検討すること自体は正しい行動だと日野さんも支持するが、当の友人は、いまいち踏ん切りがつかない。理由を聞くと人間関係が原因で転職するのは「なんだか逃げているようで後ろめたい」と話したというのだ。
嫌なことから逃げて転職をすると、新しい会社で同じ事態に陥ったときに再び転職してしまいジョブホッパーになってしまう、というのはよく言われることではある。しかし、日野さんはこの考えに異議を唱える。
「今の環境に問題があるなら逃げるのは当然で、むしろここで逃げないと心や体を壊して取り返しがつかなくなるおそれだってある。転職の理由が『逃げ』であることで悪いことなんてひとつもない」
さらに、「そもそも、『逃げ』の要素が一切ない転職なんて存在するのだろうか」と指摘。「もっと大きな仕事をしたい」というある意味前向きな理由で転職する人も、「今の会社では自分のやりたい仕事ができない」という不満から逃げている、とする。
ポジティブにしろ、ネガティブにしろ、今の職場に自分では変えられない問題があるのなら転職するのは自然、という内容だ。ネットでははてなブックマークが400件以上寄せられた。コメントを見ると、「実際相性というのもあるし、さっさと辞めて次で幸せなパターンは多い」と同意する声が多い。
「理不尽を感じてるなら即刻逃げるべき」
「逃げ」の転職経験者からも「逃げたおかげで今すごく幸せな環境で働けてるわ」という声が出る。逆に、周囲は逃げていったのに、自分だけ踏みとどまっため、うつ病になったという人もいた。
ブラック企業に就職をして、ひどい環境で働いていても、本人がその異常性になかなか気づくことができない、というのはよくある話だ。そのため、「理不尽を日常的に感じてるなら、即刻逃げるべし。ブラック企業で働くは人生の浪費」「撤退も戦略のうち」といった趣旨のコメントもある。
一方で、「逃げ」で転職するのは自分を守るためには正しいとしても、今の日本の転職市場ではなかなか受け入れられない、という現実を指摘する声も少なくない。
面接で退職理由を聞かれたらどうする?
転職の面接で「会社の空気と合わなかった」と辞めた理由を正直に話したところ、人事担当者に「この人忍耐力ないな、社会人としての適性に欠けてるな」という目で見られた、という人もいた。
もっとも、面接では辞めた理由を正直に話す必要はないので、建前用に作ったポジティブな退職理由を言っても問題はない。そこは上手いことやり過ごして、自分ができること、これからしたいことを丁寧に説明するのが吉だろう。
大事なのは、長期的なキャリアを築くことだ。自分に合わない環境で心身を病んでは元も子もない。やはり「生き残ることこそ正義だからな。逃げたっていい」というのが一番正しいのではないだろうか。
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