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「ビアンキの死で安全対策の大切さを思い知った」 F1ドライバー達のそれぞれの思い

2015年07月24日 14:00  AUTOSPORT web

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2015年F1第10戦ハンガリーGP フォース・インディアVJM08のリヤウイングにジュール・ビアンキを哀悼するコメント
ジュール・ビアンキが亡くなってから初めてのグランプリがハンガリーで行われる。ハンガロリンクを訪れたドライバーたちが改めてビアンキへの思い、彼の死の影響などを語った。

 昨年の日本GPでの事故で負ったけがが元で、ビアンキは17日にこの世を去った。彼の死によって思うこと、彼との思い出など、さまざまなことをF1ドライバーたちが語っている。

ダニール・クビアト「人生への感謝、相手を尊重する気持ちが強くなった」
「(アイルトン・セナの死から)21年間、(F1ドライバーの)死亡事故はなかったのに、ついに起きてしまった。僕は今までよりももっと人生に感謝するようになった」
「これまでも他のドライバーたちを尊重する気持ちは持っていたけれど、今後は互いをより一層尊重していきたい。他のドライバーも同じ気持ちなら嬉しい」

ダニエル・リカルド「安全性を軽んじてはならないと思い知った」
「F1では長い時間をかけて安全性を大きく向上させてきた。(死亡事故が)ずっと起こらないと忘れてしまうものだ」
「F1の世界に入りたてのころ、GPDAのミーティングで安全性の話をさかんにしていたのを覚えている。年上のドライバーたちが、コース周辺のいろいろな問題を取り上げて、タイヤがパンクしてコースオフした場合、あれではバリアの角度が悪いとかなんとかね。若手にしてみると『そんなこと起こるわけない。いいからレースをしよう』と思うんだけど」
「今後は少なくとも、ああいうコンディションでトラクターが出ている状態でレースをするようなことはなくなるだろう」

ジェンソン・バトン「ドライバー同士の絆が深まった」
「今のドライバーは70年代や80年代、90年代とは違って、一緒に過ごすことがあまりない。今は僕らドライバーはそれほど感情を表に出していないけれど、火曜日(の葬儀の際)には皆、感情をあらわにしていた。お互いへの尊敬の念だけではなくね。このスポーツはクレージーだけど、僕らは絆で結ばれた兄弟のようなものなんだ」


フェルナンド・アロンソ「初めて仲間を失った」
「輝かしい将来が彼を待ち受けていた。フェラーリに乗る可能性も高かった」
「彼とはマラネロで共に3年を過ごし、サーキット以外でも一緒に時を過ごした。2012年にはランサローテでのフェラーリのトレーニングキャンプに1週間参加し、彼とは同じ部屋だったからかなり長い時間を一緒に過ごした」
「長いキャリアの中で初めて仲間を失った。一緒に走っていたのに、もう彼はここにはいない。でもいつまでも忘れることはないだろう」

パストール・マルドナド「悲しくて寂しくてショック」
「本当に悲しい。僕らはマネージャーが一緒だったし、楽しい時を共に過ごしてきて、すごく親しかったんだ。本当にショックだ」
「でもこれが人生だ。僕らは彼を思いながら週末の仕事に集中して、いい結果を出すためにベストを尽くさなければならない。彼がいなくて寂しい。この寂しさは永遠に消えないだろう」

セルジオ・ペレス「世界に大きな影響を及ぼした人物」
「ドライバー同士は15日ごとに会っていて、一緒に過ごす時間は長い。でももう彼には会えないんだ。本当にショックだよ。皆が辛い思いをしている。まるで家族のように」
「彼のご家族は辛い思いをしているだろう。今や彼の家族は僕らの家族だ。力を尽くして支えたい」
「彼とはフェラーリ・アカデミー時代によく一緒にいた。彼はドライバーとしても特別な存在だったし、ひとりの人間としても誰にでも好かれる素晴らしい人だった。彼は謙虚な人だったが、世界に大きな影響を及ぼした」
「ジュールは特別なドライバーだったのに、力を発揮する機会に恵まれなかった」

ロマン・グロージャン「すごいドライバーだった」
「ゴーカート時代、彼は僕よりずっとずっと優れたドライバーだった。どこでも勝ちまくっていたよ」
「今週は皆が彼のことを考えている。彼のことはいつまでも忘れない」

フェリペ・マッサ「才能を発揮する機会に恵まれなかったのが残念」
「ジュールは親しい友人だった。初めて会った時には彼はまだゴーカートでレースをしていた。本当に素晴らしい少年だったよ。人柄がよく、とても謙虚で、最高のドライバーだった」
「残念ながらF1では速いマシンに乗って力を見せつける機会に恵まれなかった」
「彼が乗っていたマシンを考えると、モナコの入賞は驚くべき偉業だ」
「彼ほど素晴らしいカートドライバーを僕は見たことがなかった。すごいドライビングだったんだ」

ロベルト・メリ「彼ほど才能あるドライバーに会ったことがない」
「初めてジュールに会ったのは2002年、カートレースでのことだ。その後も一緒によくレースをした。彼はいつも最速で、皆に基準を示すような存在だった」
「モータースポーツ界の中で、彼ほど才能がある人に会ったことがない。(2009年F3ユーロシリーズでは)大勢優秀なドライバーがいる中でタイトルを取った。彼にどれだけ才能があったか分かるだろう」

ニコ・ヒュルケンベルグ「F3のバトルで才能を思い知った」
「2回チームメイトだったことがあるんだ。2008年、僕はF3で2年目の時、最終的にタイトルを取った年なんだけど、彼はその時ルーキーだった。ムジェロで僕はポール、彼は2位か3位だった。1コーナーを抜けた時点で僕がリード、彼は2位にいてかなりプッシュしてきた。彼の強さを思い知ったよ。絶対に成功を収めるという強い気持ちを持っていた」
「レースをしていない時の彼は、本当に楽しい、素晴らしい人物だった。一緒に楽しい時間を過ごした」