ホンダがペナルティなしで使用できる「ジョーカー」のパワーユニットをハンガリーGPに投入するかもしれない。マクラーレン・ホンダ関係者への取材で明らかになった。
7月10日の世界モータースポーツ評議会で決定したパワーユニットに関する規則変更で、F1に新加入したパワーユニットマニュファクチャラーは最初のシーズンのみ、レギュレーションで定められている年間許容基数より1基多くパワーユニットを使用できることになった。このペナルティなしで使用できる「プラス1基」がジョーカーというわけだ。
ホンダはジョーカーを、どのタイミングで使用するのか。今シーズン中に使用できるトークンは7つ残っており、後半戦には日本GPも控えている。今回投入が予定されているジョーカーに、トークンを使用したかどうかは明らかにされていないが、バトンが「今回使用するパワーユニットは暑さ対策で若干モディファイしたもの」と語っていることから、トークンを使用したものではないと考えられる。
もし今回ジョーカーを使うのであれば、ホンダは今後トークンを使用した改良型パワーユニットを投入するグランプリでペナルティを受けることになり、鈴鹿でグリッドダウンとなる可能性もある。
また、ホンダはオーストリアGPでキミ・ライコネンとの事故に巻き込まれてダメージを負ったアロンソのパワーユニットをペナルティなしで新しいものと交換できるよう、FIAと協議が続いている。すでにマクラーレン・ホンダ側の要求が通っているのであれば、今回ジョーカーを使用する必要はなくなるはずだ。
FIAに確認したところ「その件は現在、協議中なのでコメントできない」という返答。マクラーレンのレーシングディレクター、エリック・ブーリエは「我々の要求が通る可能性は、かなり低い」と語っており、オーストリアGPで破損したパワーユニットの代替が認められるのは難しそうだ。
いずれにしても新しいパワーユニットを使用するのかどうか、どのコンポーネントを新たに投入するのか、ハンガリーGPの走行初日に明らかになる。ホンダが前半戦の締めくくりをどう戦うのか、あらためてレポートしたい。
(尾張正博)