会社が「不適切会計」の問題を認め、歴代3社長が辞任した東芝。日本を代表する超大企業の内実は、どのようなものなのだろうか。口コミサイトのキャリコネの書き込みから、社員の様子を探ってみる。
経営が安定していて給与もよく、社会的ステイタスも非常に高い。そんな会社に勤めていても、なぜか辞めてしまう人もいる。東芝で技術関連職として働いていたある男性は、30代前半で800万円の年収を得ていたが、退職してしまった。
社内向けの手続きに追われるが「客先ではタジタジ」
同社を辞めた理由は、大企業ならではの機動性の低い社風に不満を抱いたからだ。
「物事がなかなか決まらず、社内資料作成が横行しており、肝心な客先前になるとほとんどの人がタジタジ。議事録などを見ても2年前と同じ内容を話していたり、本筋とずれた議題に力をいれざるを得ないこともある」
この男性は、意思決定の遅さを「我慢できる方にはとても良い会社」としながらも、我慢ができない人が多く辞めているように感じるとしている。
生き馬の目を抜くスピードで仕事をするベンチャーなどと比べれば、ストレスが少ないようにも思えるが、典型的な大企業ゆえの大変さもあるようだ。商品企画に従事する30代後半の男性からも、同じような不満が聞かれる。
「社内調整が凄まじい。他愛のないことを通すにしても、10以上の複数部門の承認が必要。その承認部門のなかには、現場の事も事業の事も、何もわかっていない管理部門が多く含まれる。そのため書式や形式的なこと、些細な契約上の文言など、本質的ではない内容に執着する」
この男性は前の男性と同様、組織の硬直性に疑問を持たないタイプなら東芝で働くことは辛くないだろうとしつつ、「目的意識や論理性を重視するタイプであれば厳しい環境」と指摘し、「官僚的な人間が残り、出世していく社風」と評する。ほかにも「とにかく関所(稟議ステップ)が多く一つの稟議を通すのに膨大な時間がかかる」(海外営業20代後半)など、似たような口コミが多数あった。
「メンヘル損なう社員が激増」という不穏な指摘も
実際の業務については長時間労働を訴える声はあるが、激務に悲鳴をあげるという感じではない。緩慢としたダラダラ残業が常態化してしまっている、という印象だ。プラント施工管理に携わっていた30代の男性も、
「みなさん普通に深夜残業していましたが、とくに辛いという雰囲気はありませんから困ります。帰りづらいですし。上に行こうと思ったら止む得ないですね。割り切って帰る人もいないこともないですが少数派です。宮仕えは命がけです」
と、社内出世のためには横並びの行動が重視されることを匂わせた。
世界的大企業ならではのグローバルな雰囲気があるかと思いきや、海外営業に従事する40代の男性は「内実は典型的な古い日本型企業」と指摘する。国籍の違う社員が多く在籍しているが「海外営業の部署で『ガイジン』という言葉が飛び交う等、実態はグローバルには程遠い」という。
気になるのは、健康を害する社員が少なくないという指摘だ。半導体の開発設計に携わる30代の男性は「ここ数年、メンタル・ヘルスを損なう社員が激増している」と明かしている。
休職者が多すぎるため「業務に支障をきたすようになってきた」と感じるほどだ。危機感を抱いた本社コーポレート部門も対策を打ち出しているが、「なかなか復職まで至るケースは少ない」という。トップが権力闘争の末に不正に手を染める会社では、現場に重苦しい雰囲気が垂れ込めていたのではないか。
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