国境を越えた情報のやりとりが瞬時にできるようになったインターネット時代。しかし現実には、日本の通販サイトの商品を海外在住の日本人や外国人が購入することは難しい場合もある。海外発送や決済、そして言語の制約があるからだ。
2014年10月にネットプライスドットコムから社名変更したBEENOSは、このような制約に悩む通販サイトをサポートし、海外顧客との取引を支援する「転送コム」などの事業で成長している。会社の内情を広報の岡野渚さんにレポートしてもらった。
日本の通販サイトは「転送コム」のバナーを貼るだけ
当社は国境を越えて日本の通販サイトを利用する「越境EC」をサポートするサービスを展開しています。ネットを使えば国境を越えるのは容易に思われますが、実際には海外居住者の利用には障壁が少なくありません。
海外配送や決済といった問題もありますし、日本語がまったく分からない外国人もいます。円安もあって海外販売の可能性は高まってはいるものの、これらの問題を日本の通販サイトがすべて自社で解決しようとすると、多大な費用と時間がかかってしまいます。
そこで当社は、日本の通販サイトが現行のオペレーションを変えることなく海外顧客に対応できるよう、海外発送対応の倉庫作業や多様な決済手段を用意し、不正検知や多言語のカスタマーサポート、サイト内翻訳なども無料で提供しています。
海外転送サービス「転送コム」は、登録会員に商品の重量に比例した手数料をお支払いいただけば、当社が海外の住所に商品を転送するサービスです。サービスを利用したいECサイトは、「転送コム」のバナーを自社サイト内に表示させるだけ。無料でサービスを利用することができ、現在700もの国内サイトにご利用いただいております。
また、代理購入サービス「Buyee(バイイー)」では、日本語のみならず英語、中国語の繁体字・簡体字で表記した販売サイトを設け、そこからYahoo!ショッピングやヤフオクの商品を購入できるようにするものです。利用手数料は商品代金の10%です。
従業員の3割が外国人。東南アジア、ウクライナ、モンゴルからも
転送コムは年間160億円規模の商品を海外に発送しており、発送数では国内最大級の規模。顧客には海外駐在の日本人や、日本の商品を購入したい外国人がいます。
当社で働く従業員も、約3割が外国籍。その数はこの1年で2倍以上と急速に増加しています。アジア出身者が中心で、中国や台湾、香港、韓国の近隣国だけでなく、インドネシアやウクライナ、インド、モンゴルなどの出身者もいます。
業務内容もカスタマーサポート、マーケティング、エンジニアなどと様々。入社5年目の周文祥は、当社近くのコンビニでの働きを見た当社代表が声をかけて入社し、今では正社員として事業推進チームでサービス企画や改善を担当しています。
当社は誰にでもチャンスは平等にあり、思ったことを自由に発言でき、それが活かされる環境が強み。カスタマーサポートを担当する中国人女性も、
「日本企業は先輩・後輩の上下関係があり、戸惑いました。でもこの会社では、圧迫感を感じたことはないですね」
と、当社で働く感想を述べてくれました。言語や文化が異なる従業員が世界中から集まる職場では、積極的にランチ会を行うなど従業員同士の交流やコミュニケーションを活性化するための工夫をしています。
日本流のカラオケ大会でコミュニケーション
当社は世界84の国と地域に発送実績があります。世界中のお客様に選ばれるサービスにするため、より多面的・俯瞰的なものの見方が必須と考えており、多様なバックグラウンドでも働きやすい柔軟な環境を整えています。
国籍やキャリア、年齢もさまざまな従業員をチームとして一体感を出すために、海外出身者の名前を覚えやすくするため、人名を使ったビンゴゲーム大会を行ったり、日本流のカラオケ大会で盛り上がったりすることも。
旧正月など海外の祝祭日に配慮した業務スケジュールを考えたり、ビザ申請のフォローをしたりするなど、安心して働くことができるようサポートをしています。
そんな私たちは、成長する「越境EC」をサポートすることで日本の魅力的な商品を世界の人々に届け、日本を元気にするサービスを一緒に盛り上げてくれる人材を募集しています。
【プロフィール】BEENOS株式会社 広報 岡野 渚:1985年生まれ。富山県出身。大学卒業後、2009年同社(当時ネットプライスドットコム)に入社。経営管理、IR、経理を経て、現在はグループ広報を担当。ベンチャー企業の魅力を日々PRする「なでしこ広報会」(主宰:栗田朋一・東京PRアカデミー代表)に参加している。