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鳥居みゆき、越智ゆらの、akkinが引き出すDraft Kingの魅力とは? 新作で高まる飛躍への期待

2015年07月22日 16:50  リアルサウンド

リアルサウンド

Draft King

 Draft Kingがいま、バンドとして飛躍のときを迎えているーー7月22日にリリースする3rdシングル『This is me.』に、そうした期待を抱いた音楽ファンは少なくないだろう。


 まず驚くのは、そのサウンドの変化だ。Draft Kingはこれまで『Just Say u.r.?』『贈る言葉』と2枚のシングルをリリースしてきた。両作品はともに疾走感溢れるポップなロックナンバーで、シンプルなバンドサウンドは青春パンクを思わせる瑞々しさがなによりも印象的だった。ケレン味のないストレートな曲調に、むしろ好感を持ったファンも多かったのではないだろうか。


 しかし今作の表題曲「This is me.」は、過去の2作とは大きく異なる魅力を放っている。その構成はストーリー性を高めてドラマチックさを増し、各パートの演奏はぐっとテクニカルものに進化している。ギターとベースは軽快に、しかもグルーヴィーに絡み合い、タイトでありながら歌心溢れるドラムがそのアンサンブルをしっかりとまとめている。ericaのボーカルも、より表現力を増した印象で、メッセージ性の高い歌詞はさらに説得力を帯びた。元ステレオポニーのメンバーを軸に結成されたDraft Kingの高い演奏能力が発揮された楽曲で、青春を感じさせる瑞々しさを保ちながらも、そのスキルで表現に陰影が加わり、曲全体としてのスケールが増しているのだ。


 良い意味でこれまでのDraft Kingのイメージを覆す楽曲で、こうした変化は、サウンドプロデューサーにakkin氏を迎えたことも大きく影響しているのだろう。akkin氏は、ONE OK ROCKやFUZZY CONTROL、MAN WITH A MISSIONといった錚々たるバンドのサウンドプロデュースを手掛けてきた人物で、壮大さと繊細さを併せ持ったアレンジに定評がある。今作では、Draft Kingが備えていたバンドとしてのポテンシャルを、充分に開花させたといえるのではないだろうか。


 『This is me.』で注目したいのはサウンド面だけではない。現在、若者のツールとしてすでに一般的となった「LINE」にフィーチャーし、そこで行われるコミュニケーションのあり方について疑問を投げかけるようなMVもまた、今作に奥行きを与えている。MVのプロデュースを務めたのは、前作「贈る言葉」に引き続き、Draft Kingと同じサンミュージックに所属するお笑い芸人の鳥居みゆきだ。今作もまた鳥居みゆきのセンスが存分に発揮された作品となっており、ひとの心の闇に向き合い、そこから希望を見いだすようなストーリーは、とくに多感なティーンエイジャーに訴えかけるものがありそうだ。また、MVには鳥居の実姉・千春さんも出演しているので、ぜひ探してみてほしい。


 MVで主演を務めている越智ゆらのも、今作のキーパーソンのひとりだろう。越智ゆらのはファッション雑誌『Popteen』の専属モデル。MVでは「自分自身を一番好きになって欲しい」という同曲のメッセージを、真っ直ぐに受け止める10代の女性の姿を等身大で演じており、特に同世代から大きな共感を呼びそうだ。彼女は今作のジャケットにも起用されており、その柔らかく繊細なイメージで今作に色を添えている。


 akkin、鳥居みゆき、そして越智ゆらのが、三者三様のアプローチでDraft Kingの魅力を引き出した今作は、きっと多くの新たなリスナーに届くに違いない。
(文=松下博夫)