ピーター・ブルック演出の舞台『Battlefield 「マハーバーラタ」より』が、11月25日から東京・初台の新国立劇場中劇場で上演される。
イギリスのロイヤルシェイクスピアカンパニーで多くのシェイクスピア劇を数多く手掛け、最小限の舞台装置と、俳優の言葉と肉体を駆使した「魔術的」と呼ばれる舞台で知られる演出家ピーター・ブルック。日本でも1973年の『真夏の夜の夢』を皮切りに多くの作品が上演されており、昨年にはドキュメンタリー映画『ピーター・ブルックの世界一受けたいお稽古』が公開された。
『Battlefield 「マハーバーラタ」より』は、ブルックが1985年に創作した上演時間9時間におよぶ長編舞台『マハーバーラタ』をもとにした作品。『マハーバーラタ』は、世界3大叙事詩のひとつとされる同名の物語を脚色して「賭け」「追放」「戦争」の3部作で描いた作品で、日本では1988年に上演された。ブルックが30年ぶりに『マハーバーラタ』に挑む今回の公演は、9月にフランスで世界初演を迎えた後、来日公演が行われる。チケットの一般発売は9月26日10:00からスタート。
■ピーター・ブルックのコメント
「マハーバーラタ」は戦争による皆殺しの物語です。それによってバラタ家は引き裂かれてしまいます。この一族にはパンダヴァ家という5人の兄弟がおり、もう一方にはカウラヴァ家という、ドリタラーシュトラ王の百人の王子たちがいます。どちらの側も、恐ろしい手段を使って戦いを繰り広げますが、最後にパンダヴァ側が勝ちます。そしてそこには何百万もの死体が大地に横たわり、パンダヴァの長兄であるユディシュティラが皇帝になります。勝利はしたものの、そこには敗北の苦い後味がありました。ユディシュティラも、前王であるドリタラーシュトラも深い苦悩と後悔を味わい、過去の行為に疑問を持ち、大きな不幸をもたらした自らの責任を解き明かそうとします。
恐ろしい虐殺、息子たちや家族、同胞を失うという人生を生きた新王と前王は、内なる安らぎを見出すことが出来るでしょうか。
時を超越した叙事詩の言葉の豊かさと、常に驚きに満ちた物語によって、われわれはこれを舞台に仕上げることが出来ました。
これは遥かな昔の物語でありながら、同時に現代の苛酷な争いを映し出すのです。