2015年07月21日 19:01 弁護士ドットコム
全国に展開する飲食チェーンの関東地方の店舗で非正規社員として働いていた20代の女性が、セクハラやパワハラを受けた末に自殺したとして、その遺族が7月21日、勤務先の本社と上司を相手取って、慰謝料など約9800万円を求める裁判を東京地裁に起こした。遺族は、女性が自殺したのは、副店長(X氏)によるセクハラやパワハラ、ストーカー被害が原因だったとしている。
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提訴後に東京・霞ヶ関の司法記者クラブで開かれた会見には、女性の親族と原告の代理人弁護士が出席。親族の男性は「絶対に許せない」と強い口調で語った。
訴状などによると、女性は2013年4月、アルバイトとして入店し、正社員になることを目指して仕事に励んでいた。
しかし、入店して1年経ったころから、女性は母親に「副店長の距離感がおかしい。私にだけ触ってくる。とても妻子持ちの正社員の行動とは思えない」などと相談していたという。また、副店長だったX氏は、女性が他の社員の指示を仰ぐと激怒し、「お前は死ねばいいんだよ」などの暴言を吐いて、女性を罵倒したと、遺族は主張する。
その後、X氏は、一人暮らしの女性の自宅をおとずれ、性的関係をもつようになったが、遺族によると、女性の意思に反するものだったという。再三にわたり、女性は関係を「解消したい」と伝えたが、X氏は受け入れなかった。そして昨年12月、X氏が「一緒に死のう」と心中を持ちかけた翌日、思い悩んだ女性は自室のベランダで首をつって自殺したという。
記者会見した親族の男性は、女性の死後にX氏と面会したと述べた。その際、X氏は性的関係があったことや「一緒に死のう」と発言したことを認めたという。
女性の両親はいまも娘の死を受け入れられず、心療内科に通院しているとのことだ。母親は、この日、書面で「報道機関のみなさまへ」と題したコメントを発表。「セクハラを見て見ぬふりをし続けて娘を見殺しにした会社は、この世から消えてなくなってしまえばいいのに、と思う毎日です」と辛い胸の内を明かしている。
(弁護士ドットコムニュース)