最終面接の対策が、ネット上や書籍にもいろいろと書かれています。内容としては「一次面接から重ねてきた対策を復習しろ」といったものが多く見受けられるのですが、それだけでは大した対策にはならないでしょう。
特に最終面接は経営トップとの対面になりますから、対策もおのずと変わってきます。そこでおすすめなのが「心理学」の導入。中でも実用的なのが、人の特徴を4タイプに大別することで、有効な対応方法を導き出すものです。代表的なものに「DiSK」理論があります。(文:河合浩司)
自分と相手がどんなタイプか十分理解しておくこと
DiSC理論とは、人間の特性を「D型=主導」(直接的で決断早い)、「i型=感化」(楽観的で社交的)、「S型=安定」(思いやりがあり協力的)、「C型=慎重」(緻密で正確)といったタイプに分けて捉えるものです。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉もありますが、相手と自分がどんな型なのかを理解しておくと、円滑なコミュニケーションを築くコツがわかってきます。
相手のタイプ分けは、直感的なものでも構いません。相手を「自分とは合わない」と捉えると拒否反応が出てしまいますが、単純に「タイプが違うのだけなのだ」と理解すると対応しやすくなります。
この理論を、実際に最終面接対策に活かせたことがあります。弊社の選考で、最終面接の手前まで進んだ学生と話していた時のこと。他社の選考状況を聞いてみると、とある会社の最終面接を翌週に控えていることがわかりました。
私は偶然、その会社の社長をとある会で見かけたことがあったので、大よその性格的特徴を「D型」であると把握していました。そこでそのときの印象を伝えた上で、彼女に最終面接に向けて少しだけアドバイスをしました。
「この社長さんはおそらく面接が始まったら『入社後、うちでどんな仕事をしたいの?』という質問をすると思います。これには即答できるようにしておいた方がいいですよ。それから表情は乏しいように見えますが、決して怒っているわけではないので安心してください」
社会人になってからも応用が利く
後日、この学生さんから連絡をもらいましたが、私の予想通りの展開だったようです。「教えてもらっていなければ、怒られているようにカン違いしていたかもしれません。本当にありがとうございます」と、とても感謝してもらえました。
経営者、特に創業社長は当然ながら仕事に人一倍強い興味関心を持っている方が多くおられます。そのことをどのように聞いてくるのかは、性格的な特徴に大きく左右されます。そのコミュニケーションスタイルの特徴を理解しておくことで、円滑な会話にすることが可能となります。
こういった学びは、社会人になってからも活用できます。営業職なら取引先の方、販売職ならお客様、私たち採用担当者なら就活生の特徴をある程度つかんで相手に合せて対応すると、お互いにとって良好な関係性を築けるようになるでしょう。
人の特性を分析するものには様々なものがあり、より精密に分類する学問もありますが、面接担当者相手に使うのは現実的ではありません。4つのタイプに基づいて考えるくらいのものが実用的でしょう。就活本を買って「自分ではない誰か」になってしまうくらいなら、こういった本を買って学んだほうが有益だと私は思います。
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