米コカ・コーラ社の従業員が業務中にペプシコーラを飲んだことで解雇された、というニュースがネット上で話題となっている。
CNNの報道によると、2003年にコカ・コーラ社の配達ドライバースタッフの男性が、カリフォルニア州のスーパーに配達を終えた後、休憩するためにペプシコーラを買い、バックルームに向かった。これを誰かが目撃し、コカ・コーラ社に通報したのだという。
男性はまだ勤務時間中で、コカ・コーラ社の制服を着ていたが、競合他社の製品を飲んだというだけで解雇されるのは米国でも異例だという。男性と労働組合は不当解雇だとして訴訟を起こしている。
マイクロソフト社でも従業員のiPhone使用で議論
日本でも、この報道がネットメディアで翻訳されて伝わると、2ちゃんねるやツイッターを中心に話題になった。親戚がコカ・コーラ社の従業員だったという人は、
「(自分が)ペプシ買ってきたのばれると(親戚が)流しに捨ててたからあり得る話と思った」
とツイート。業務内外を問わず競合他社の製品は使用しない、というのを暗黙のルールにしている企業は結構あるようだ。
大手自動車メーカーの下請け工場では、他社の自動車で通勤すると工場から離れた駐車場に停めさせられるという話や、大手飲料メーカーの工場では他社の飲み物は持ち込み禁止で、のどが渇いたら社内で自社製品を購入するよう上司に言われた、という話もある。
米ウォールストリートジャーナルの2010年の記事によると、マイクロソフト社でも従業員のiPhone使用の是非について幹部が議論したことがあったという。確かに競合他社の製品を使うことは、外部から見たら「自社製品に自信がない、負けを認めている」と捉えられかねない。やはり企業としてはセンシティブになるポイントのようだ。
コカ・コーラ社をクビになった男性についても「制服を着るということは看板を背負うという契約なのだから(解雇は)仕方ない」という見方が出ていた。
ライバル製品を使わないと自社の課題は分からない?
一方で、そこまでして競合他社の製品を禁止する必要はない、とする見方も少なくない。ネットでは、大手コピー機メーカーの下請会社では他社製のコピー機を使っている、という書き込みもある。
自社製品を使うのがベストなのかも知れないが、価格や用途などを考慮した結果、他社製品のほうが適していた、というのはありえる話だ。
自社が扱っている製品を使ったり食べたりしていると「商品をくすねたと思われかねない」という指摘もあった。そうした事態を避けるために小売店の中には、従業員が自分の店で買い物することを禁止するところもあるのだという。
「競合製品を知らないことには対抗することはできない」という意見もある。他社の製品・サービスを知ることで、自社の強みや弱点も見えてくるというものだ。一人のユーザーの気持ちに立ち返って、他社製品を吟味することも時には必要といったところだろうか。
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