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乃木坂46深川麻衣と若月佑美が語る、4年半の歴史と成長「グループにいるからこそチャンスを貰える」

2015年07月19日 11:10  リアルサウンド

リアルサウンド

深川麻衣(左)と若月佑美(右)。(写真=竹内洋平)

 7月10日より、乃木坂46の初ドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』が公開された。同映画は1stから10thシングルまで10作連続で収録曲のMVを手掛けてきた丸山健志監督のもと、“人は変われる”をテーマに、決して平坦ではなかったメンバーそれぞれの過去が明かされる一方で、現代のアイドルグループのなかで異彩を放つ存在に成長した乃木坂46の輝きを活写。彼女たちの変化を見守ってきた家族へのインタビューも交え、アイドルとして、そして1人の人間として生き抜く女性の素顔が描かれている作品だ。今回リアルサウンドでは、他のメンバーからの信頼も厚い、グループの精神的支柱である深川麻衣と若月佑美にインタビューを行なった。初のドキュメンタリー映画に感じた戸惑いや印象に残ったエピソード、それぞれの目指すものについて、大いに語ってもらった。


・「『女優になる』という夢を持つことができたのは“希望”」(若月)


――作品には乃木坂46の結成前から現在まで、4年半の歴史がギュッと詰まっています。自分たちの過ごしてきた日々が、ドキュメンタリーになったことについてどう思いますか?


深川麻衣(以下:深川):映画としては、見終わったあとにポカーンと放心状態になる作品だと思います(笑)。あとは、メンバーのお母さんの言葉が随所に入っていることで、自分が知らなかったメンバーの一面も知ることが出来ました。この方法を使ったことで、より乃木坂46らしさが出ていると思います。


若月佑美(以下:若月):映画って作品として成り立たせるために、スタートから終わりまでを決めて、物語を詰めていくのが普通だと思うのですが、ドキュメンタリー映画なので終わりがないというか…。映画であって映画でない、という感覚に近いのかもしれません。


深川:改めて2時間に凝縮されたものを見ると、忘れかけていた初期の頃の気持ち…具体的にはよみうりランドのイベント(2012年3月3日・『ぐるぐるカーテン』発売記念全国握手会)の様子なども、鮮明に蘇ってきました。


若月:ファンの方は「ああ、そういうことあったよね」と思い出してくれるきっかけになりますよね。でも、今回の映画では皆さんの記憶にある表側とは別に、イベントの裏側で映し出されている心情もリアルに描かれていて、メンバーとしては心がフワフワしたまま見終わったというのが正直な感想です(笑)。


――若月さんが劇中で一番印象に残っているシーンは?


若月:私の場合だと、謹慎していた時の話ですね。正直、今はあまり自分からは語りたくないようなことも、劇中には入っていて。当時の自分が思っていたけど言えなかったことも、過去の映像とともに流れたり、現在の視点からその頃を振り返って話したりしています。あの時は、過去の自分が今の自分を変わりたいのに苦しめていたのですが、それより先に申し訳ないという気持ちばかりがありました。なので、改めて私がどう思っていたか、今はどう捉えているかを見て欲しいです。


――若月さんはその場面だけではなく、“舞台女優としての覚醒”がしっかりと描かれています。7月には主演を務めた舞台『ヴァンパイア騎士』も再演(7月1日~5日)しましたが、これらのきっかけもすべて第一回『16人のプリンシパル』から始まったんですよね。


若月:そうです。自分自身、色んなことに対して苦手意識を抱えたまま生きてきました。頑張ることも苦しくなるし、勉強してもみんなに追いつけるわけがない、なんてことばかり考えていて……。でも、乃木坂46に入ったからには、そんな自分を変えよう、変わろうと決意して、ひとつ目にぶつかった壁が『16人のプリンシパル』だったんです。それまではメンバーとしてライブパフォーマンスを高めていくことを意識していたのですが、『16人のプリンシパル』では、中学・高校の時に他人と比べられて抱えた劣等感や焦燥感を思い出し、だからこそ「ここで過去の自分にとらわれて辞めてしまってはいけない。ここがスタートなんだ」と振り切って演技をすることができました。そこで結果的に「女優になる」という夢を持つことができたのは、苦しいながらに頑張ったなかで見えた“希望”でした。


――以降、『16人のプリンシパル』においては、毎年圧倒的な存在感を放っています。


若月:嬉しい! たとえば、生駒(里奈)ってライブですごい輝くタイプなんですよ。だから私にもそういう場所が欲しいなと思っていたので、プリンシパルは「ここで頑張らなきゃ」と毎回思える場所ですね。


・「デビュー当時にしか出せなかった輝きもある」(深川)


――深川さんはどの場面が印象に残っていますか。


深川:初期の映像が心に残っていますね。オーディションでメンバーが呼ばれて「これが乃木坂46です」って言われた瞬間とか、AKB48さんの『リクエストアワード』で初めてぐるぐるカーテンをお披露目したこととか。みんなが右も左も分からないなかだからこそ、いっぱいいっぱいになっている初々しさがあったりして(笑)。今は活動を続けることで輝きが増してきたと感じていますが、その反面、デビュー当時にしか出せなかった輝きもあるなと思っていて。自分で言うのも変ですけど、初期の映像を見て「キラキラしていて眩しいな」という感想を持ちました(笑)。


――深川さんは乃木坂46の“聖母”として、グループの精神的支柱であり続けています。メンバーの中でも、取り分け良い意味で目立った変化がないように見えるのですが、実際はどうでしょうか。


深川:でも、私も『16人のプリンシパル』で大きく変わったと思います。最初の『お見立て会』では、ファンの方を前にして足が震えてしまうくらい緊張して、話すのもいっぱいいっぱいだったんですけど、『16人のプリンシパル』では、それより大きい舞台で自分をさらけ出さないといけませんでした。緊張感とともに「嫌だな」という気持ちや恥ずかしさもありました。でも、自分と向き合って、自己PRもすごく考えましたし、何度も来てくれるファンの方に同じものを見せないように、絞り出して最後に出てきたものをちゃんと理解してもらえました。結果的にその日の2部にも選ばれて嬉しかったことは、いまだに覚えています。


――乃木坂46独自の催しである『16人のプリンシパル』が、それだけ苦難であり大きな成長の場である証ですね。


深川:みんなの姿を見ていても、第一回の『16人のプリンシパル』では、メンバー同士のぶつかり合いもあったりして。それぞれ自分のことで頭がいっぱいになっているのが、映像を通して改めてわかります。でも、回を重ねるごとにメンバーのメンタルも鍛えられていて、個人個人が強くなっていきました(笑)。


・「下半期も自分の力で乃木坂46の名前を広める」(若月)


――映画内では、2015年の乃木坂46に起こっている動きとして、個人仕事の増加と、それぞれの成長も描かれています。今年も後半に差し掛かりますが、2人がそれぞれ2015年内に達成したいことを教えてください。


深川:メンバーは乃木坂46にいるからこそ、チャンスを貰えることが多い。最近だと若の『ヴァンパイア騎士』や、『じょしらく』、『帝一の國』(舞台・樋口日奈&井上小百合が出演)を通して、メンバーが演技で活躍しているのを見て「すごいなあ」と感じる反面「いいなあ」と思ったりして。私個人としては『16人のプリンシパル』しか演技経験はありませんが、どんどん「もっと演技を勉強したい」と思うようになっています。


若月:私が目標としていることって、丁度まいまい(深川)が言ってくれたことがまさにそうで。私、乃木坂46のオーディションで「人の人生に良い影響を与える人になる」という夢を話していたんです。そのために何が出来るかを考えて活動しているなかで、女優さんになりたいという夢が出来ました。夢に向かって突き進んでいく様子を見て、「自分も演技を勉強したい」って思ってくれるメンバーが出てきてくれるのは本当にうれしい。もちろん、応援してくれるファンの方にも、良い影響を与えていけたらと思っています。今年は映画やドラマ、舞台と充実した時間を過ごせた上半期だったので、下半期も自分の力で乃木坂46の名前を広めるために、もっと演技面で表舞台に立って活躍したいと思います。


(取材・文=中村拓海)