アイオワ・スピードウェイで開催されているベライゾン・インディカー・シリーズ第13戦。決勝レース前に行われた予選は、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)がポールポジションを獲得した。佐藤琢磨(AJフォイト)は、15番手から決勝レースに挑む。
昨日に続いて快晴、酷暑のアイオワ・スピードウェイ。予選は午後3時、気温32度、路面温度54度というコンディションで始まった。
予選アタックのトップバッターはジャスティン・ウィルソン(アンドレッティ・オートスポート)で、2周連続アタックのアベレージは177.824mphだった。これを最初に上回ったのはルーキーのセージ・カラム(チップ・ガナッシ・レーシング)。彼は180.659mphをマークしてみせた。
ホンダ勢でトップのランキング3位につけているグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、5番目にアタックしたが177.857mph止まり。彼は最終的に予選17位となった。
ウィルソンのチームメイトで昨年のアイオワ戦ウイナー、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、6番目にコースインして180.843mphをマーク、トップを奪った。金曜日のプラクティスではトップから12位までをシボレー勢が占めていたが、予選でホンダ勢が予想以上のパフォーマンスを発揮した。ハンター-レイの2ラップ目は181mph台に乗る181.506mphという素晴らしいものだった。
しかし、ハンター-レイがトップに居られたのは一瞬だった。次のアタッカー、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が2ラップ目に、その時点まででの最速となる181.795mphを出し、2ラップ平均も初めて181mph台に載せる181.625mphを記録し、トップに躍り出た。
先週のミルウォーキーで予選2位だったライアン・ブリスコ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)は176.907mph平均しか出せず、ミルウォーキー・ウイナーのセバスチャン・ブルデー(KVSHレーシング)はアタック1周目のターン2でバンプに足をすくわれスピン、リヤウイングなどにダメージを与えてアタックを完成させられず。当然、彼は最後尾からのスタートとなる。
10番目に走ったチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング)はウォームアップがアグレッシブ過ぎて計測1周目が遅くなり、2ラップ平均は180mphに届かず。ルーキーのギャビー・チャベス(BHA)は175.668mphしか出せなかった。
パワーがトップに立って暫く立っていたが、12番目のアタッカーとしてサイモン・ペジナウ(チーム・ペンスキー)がチームメイトをトップから引き摺り下ろした。181.627mphと僅かながらパワーを上回ってみせたのだ。
しかし、ペジナウのキャリア2回目のポール獲得はならなかった。次のアタッカー、トニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング)がウォームアップ・ラップで180.608mphを記録し、その勢いを保って1周目に183.608mphという強烈なスピードを記録! カナーンは2周目でも183.234mphを出し、平均183.125mphという圧倒的数字で暫定ポールシッターとなった。
カナーンの次にコースインしたマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)は、181.081mph平均と奮闘。チームメイトのハンター-レイからホンダ勢トップの座を奪った。
唯一の女性ドライバー、ピッパ・マン(デイル・コイン・レーシング)は、奮闘しているものの175.812mphと、チャベスを上回るにとどまった。
16番目のアタッカーは、今年は何やらパフォーマンスにキレのないエド・カーペンター(CFHレーシング)。彼はファイアストンのタイヤテスト要員として使命されて事前テストを行っているというのに、180.401mph平均を出すにとどまり、予選11位となった。
そして17番目、カナーンの数字を破る可能性が最も高いと見られていたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がアタックを始めた。カナーンより少し遅いウォームアップ・ラップの後、彼の計測1周目に注目が集まった……が、182.223mphと思いのほか遅く、2周目も182mph台。ディクソンはカナーンの後ろの暫定2位となった。
ディクソンの次はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)だった。ショートオーバルでの彼の能力には定評があるものの、昨日のプラクティスでの彼は8番手となる180.0561mphしか出せておらず、先に走ったパワー、ペジナウらのスピードもカナーンのそれにはおよそ対抗できないレベルだったため、ポール獲得の可能性は強く感じられなかった。ところが、179mph台と大人しめのウォームアップ・ラップの後、カストロネベスは1周目に183.464mphと、カナーンのベストを上回るラップを実現。続く2ラップ目には更に速い183.496mhpをマークし、183.480mphの2ラップ平均でポールポジションを獲得した。
今シーズン3回目、キャリア44回目、アイオワ・スピードウェイでは2013年に続く2回目のPP獲得を果たしたカストロネベスは、「予選での僕らのマシンはとても強力だった。先週のミルウォーキーだって、実は僕らのマシンは本当に速かったんだ。ちゃんと予選アタックの列に間に合いさえすれば、PP獲得がなされていたと思うよ」と彼はジョーク混じりに語った。「今週はいちばん前からスタートできるんだから、後ろを振り返ることなくゴールまで前を走り続けたい」と意気込みを語った。
カナーンは予選2位となり、予選3位にはポイント・リーダーのファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)が食い込んだ。ポイント2位のディクソンは予選4位となった。3列目に並ぶのはパジェノーとパワーのペンスキー勢。予選7位は先週のミルウォーキーでオーバルでの初ポールポジションを記録したばかりのジョセフ・ニューガーデン(CFHレーシング)だった。
そして、予選8位はホンダ勢トップとなるアンドレッティ。ハンター-レイは最終的に予選9位となった。彼らのチームメイトのカルロス・ムニョスは予選12位で、ウィルソンは18位。
佐藤琢磨の予選結果は15位。昨日のプラクティスで19番手だったことを考えれば、少しの前進がなされた。「予選15位という結果には当然満足していませんが、今日の予選での自分たちのマシンは、昨日のプラクティスでのものと比べると格段に良くなっていました」
「昨日のプラクティスは午後6時からで、今日のナイトレースは午後8時前のスタート。そのコンディションで今年は走れていないんですよ、エアロパッケージが新しくなっているのに……。自分たちとしては、今年のテキサスでのデータなどを参考にして、アイオワでのデータにフィルターをかけ、マシンセッティングを施すつもりです」と決勝に向けて意気込みを語った。
(Report by Masahiko Amano / Amano e Associati)