2015年07月18日 10:01 弁護士ドットコム
テレビ朝日系で7月上旬に放送されたバラエティ番組「マツコ&有吉の怒り新党」で、就職活動中の大学生(22)から寄せられた「企業からの『サイレントお祈り』にストレスを感じる」という悩みが取り上げられた。マツコ・デラックスさんは「我慢しなさいよ、それが世の中っていうものよ」とあきれたが、就活生にとっては深刻な問題のようだ。
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就活用語で「お祈り」とは、企業からの不採用通知のこと。文面に「今後益々のご活躍をお祈り申し上げます」といった言葉が使われることから名付けられた。「サイレントお祈り」は、その通知が送られてこない状態を意味する。マツコさんは番組で「(学生は)デリケートなんだから、(不採用通知を)出さないほうがいいっていう企業の気持ちも、分からなくはない」と持論を展開していた。
だが、企業が「採用通知の期限」を学生に伝えているならいいが、伝えていない場合、学生は待たされ続けることになる。こんな「サイレントお祈り」に、法的な問題はないのだろうか。また、学生が企業に合否をたずねた場合、企業は答える義務があるのだろうか。白川秀之弁護士に聞いた。
「企業がサイレントお祈りをしたり、合否の問い合わせに答えなくても、違法ではありません」
このように白川弁護士は説明する。
「ただ、ハローワークを通じての求職について、厚生労働省は『求人受理時には、速やかに採用結果を通知するように指導する』『一定期間を経過しても連絡がない場合には、ハローワークから問い合わせる』としています」
法律違反でなくても、就活生にとっては重大事といえそうだが・・・。
「たしかに、就活の結果がわからなければ、今後の予定を立てることができなくなりますよね。
連合が2014年6月に発表した『就職活動に関する調査』では、『就職活動で不快な思いをした経験』を調べています。1位が『採用担当者の態度』(33.2%)、2位が『不採用であった場合に一切連絡がこない“サイレントお祈り”』(31.0%)という結果が出ています。このことからも、サイレントお祈りに対して、就活生が不快に感じていることがわかります」
就活生にとっては、せっかく採用に応募した企業。なのに、不快な思いをさせられたのでは、印象も悪くなりそうだ。
「そうですね。そもそも、就活中の学生は、求人への応募者である同時に、企業が提供する商品等を購入する消費者でもあります。消費者の立場に立ってみると、就活生にそっけない態度をとる企業の商品を購入したがるでしょうか。また、就職活動時の悪い印象が先輩から後輩へと伝わっていきかねません。
こうしたことから、法律で明確に禁止されていなくても、企業は『サイレントお祈り』のような方法はやめるべきでしょう。学生からの合否の問い合わせに対しても、誠実に対応する必要があると考えます」
白川弁護士はこのように話していた。
(弁護士ドットコムニュース)