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嵐、二宮和也の“息子力”やいかに? 映画『母と暮らせば』の役どころを読む

2015年07月18日 07:20  リアルサウンド

リアルサウンド

 嵐の二宮和也と女優・吉永小百合が初共演する映画『母と暮せば』(山田洋次監督/12月12日公開)のラストシーンが、7月11日に長崎市内で撮影されたという。同作は、原爆投下から3年後の長崎を舞台に、母と息子の心の交流を描いた作品で、原爆で亡くなり幽霊となった息子・浩二役を二宮が、その息子との時間に幸せを過ごす母・伸子役を吉永が演じている。日刊スポーツによると、吉永は「初めて会った日から、もしかしたら本当の私の息子じゃないかと思うくらいピッタリと寄り添うことができた」と、二宮の演技を絶賛。一方で二宮も「すごく優しいお母さんで、カットが終わるたびに『良かったね』と。1度だけ終わった時、抱き締めていただいた」と、吉永の母役を称えている。(参考:吉永小百合と二宮和也、映画初共演「本当の親子」)


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 そんな二宮の“息子ぶり”について、今作のプロデューサーを務めた榎 望氏は「浩二はウィットに富んでいて、ユーモアを愛する愉快な青年。この役は、そんな人物を生き生きと演じられることに加え、国民的スターである方にお願いしたいという想いがありました。さらに吉永さんと母子に見える要望の方がいいということで監督と相談し、二宮さんしかいないとオファーしたんです」と、今作で二宮を起用した理由を明かしている。(参考:『QLAP!』2015年8月号)


 二宮はこれまでほかの作品でもさまざまな息子役を好演してきた。2005年に放送された倉本聰ドラマ『優しい時間』(フジテレビ)では、寺尾聰が父親・湧井勇吉役を務めたのに対し、二宮はその父と断絶状態にある息子・湧井拓郎役を務めた。自らが起こした交通事故で母を亡くし、それが原因で父との間に軋轢が生まれるという重い役どころだったが、二宮は寡黙で沈鬱な青年を演じきり、その評価を高めた。その2年後、再び倉本ドラマ『拝啓、父上様』(フジテレビ)で主役に抜擢されたのは、前作の好評を受けてのことだろう。『拝啓、父上様』も親子の関係がひとつのテーマとなった作品で、二宮は父親が誰かを母親から知らされていない生真面目な青年・田原一平役をうまく演じていた。2010年に放送されたホームドラマ『フリーター、家を買う。』(フジテレビ)では、25歳のフリーター・武 誠治役として、竹中直人演じる父役・武 誠一と激しくぶつかり合うシーンも話題となった。


 こうして二宮の息子役を振り返ると、時には寡黙でその心情が見えずらく、時には面倒を起こして家族をトラブルに巻き込むが、しかし最後には強い家族愛で一家に調和をもたらしている印象が強い。それは、嵐における二宮の立ち位置にも通じるところがあるように思える。悪戯好きで、なにを考えているのかが掴みにくいところもあるが、実はグループ愛が深いのは、多くのファンの知るところだろう。少し天の邪鬼な性格は、たしかに息子役には適しているのかもしれない。


 そんな二宮だが、今作『母と暮せば』では素直に母や恋人への愛情を演じ切っているようだ。寝ている伸子に浩二が話しかけるシーンでは、吉永は「ニノの声が心地良くて、本当に寝ちゃった」というエピソードも明かしている。30代となり、より人間的に円熟した魅力を漂わせてきた二宮は、どんな風に息子役を演じるのか。映画の公開を楽しみに待ちたい。(松下博夫)