キャリコネニュースは7月15日、第4回のニコニコ生放送を開催した。ノー残業デーの水曜日、午後9時放送開始ということもあってか、「ブラック企業に負けるな!『内部告発』の上手な使い方」という堅いテーマにもかかわらず、のべ5600人もの来場者があった。
過去の放送へのコメントで「もう少し軽い話題を交えて」という要望があったため、番組はキャリコネニュースのアクセスランキングを元に、ゲストの岩沙好幸弁護士(アディーレ法律事務所)と意見を交わすところから始まった。
「いきなりマスコミに情報提供」が危ないケースを例示
ところが、ブラック企業問題に関心の高い「ガチ勢」の視聴者から「早く本題に入れ」と厳しいコメントが相次ぎ、司会があわてて話題を切り替え。正しい内部告発の方法を解説する前に、岩沙弁護士は、
「会社が同業者との間で『闇カルテル』を結んでいることを知ってしまった営業部のSさんが、そのことを大手経済誌に情報を持ち込んだところ、大スクープとなり会社は謝罪会見を余儀なくされた」
というケースを想定して、視聴者にクイズを出した。会社はSさんを降格・減給の懲戒処分とし、これにSさんが抗議して処分取り消しを求める裁判を起こそうと考えているが、勝てる見込みはあるのか・・・。
視聴者からの回答は「Sさんは正義。勝てる」が40.0%と最多を占めたが、岩沙弁護士が示した正解は「Sさんはマズイ。勝てない」というもの。その理由は内部告発が正当と判断されるためには、
1.内容が真実か/2.公益目的か/3.手段が適切か
という3つの要件をすべて満たす必要があるからだとした。そして、Sさんのケースには「この会社には内部通報窓口があり、過去の社内不祥事に対して誠実に対処した実績がある」という部分があるので、いきなり社外のマスコミに垂れ込むのは不当と判断される可能性があると解説した。
「勘違いによる告発」でも問題にならない場合もある
アシスタントのはやしゆか(キャリコネニュース編集部)が「勘違いで告発してしまい、実は不正でなかったという場合にも問題になるのか」と尋ねたところ、岩沙弁護士は必ずしも問題にならないとした。
「仮に結果的に真実でなくても、告発時点で真実だと足りる相当な根拠があれば問題とはなりません。ただし、ロクに調査もせずに軽率に会社が不正をしていると思い込んだような場合には、告発者は保護されません」
その他、番組では「公益目的」の詳しい意味や、内部告発が問題なく認められる福祉施設のケースについて解説。番組最後に岩沙弁護士は、内部告発の意義を認めつつ、会社から「返り討ち」に遭わないようにするために、
「仮に違法な内部告発によって、会社に生じた売り上げ減少などの損害が生じた場合、賠償を請求される場合もあります。告発には上記3つの要件を満たしているかどうか慎重に確認し、必要に応じて弁護士に相談して欲しい」
とまとめた。これを受けてキャリコネニュースの氏家英男編集長は、「当編集部では告発情報を直ちに掲載することはせず、3つの要件に照らし合わせてチェックし、裏取り取材をしたうえで記事化をしている。ぜひ遠慮なく情報提供をしてほしい」と呼びかけた。
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