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モンストが「オンリーワン」になれた理由 ミクシィが実現した「みんなで」の徹底

2015年07月17日 13:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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ミクシィが好調だ。牽引役となった「モンスターストライク(モンスト)」は2015年5月に世界累計利用者数が3000万人を超え、海外にもサービス提供の幅を広げていく目算だ。

スマホを持ち寄って、協力(マルチプレイ)しながら攻略するゲームは「オンリーワン」だった。そして、前出のとおりの成果だ。そうした唯一の価値を生み出せた原動力はどこにあったのだろうか。モンストの「生みの親」であるミクシィ・木村弘毅さんに聞いてみた。

スマホを持ち寄って「集まって一緒に遊ぶ」という発想

モンストがリリースされたのは2013年10月。当時、市場は活況だったが、スマホゲームは「一人で遊ぶ」ものが主流だった。しかし木村さんには、「それとは違った価値を提供したい」という思いがあったそうだ。

「『みんなで集まって遊ぶ』ということが、人類共通の価値なのではと思っていたんです。携帯用ゲーム機よりも高い普及率のスマホで、移動できて集まれて、一緒に遊べるという『新しい価値』を提供したかった」

2015年5月現在、モンストは北米、台湾、香港、マカオ、韓国、中国でもサービスを提供している。今後もヨーロッパ、アジアと展開を続けていくという。木村さんによると、国土が狭いか、人が密集している地域で特に好評なのだという。

「集まって遊ぶものなので、極端に言えばほかのスマホゲームはライバルだと思っていません。強いてライバルを挙げるなら、スポーツや麻雀、カラオケなど、『みんなで遊ぶコンテンツ』に割く可処分時間をいかに取れるか、ということになります」

「顧客主義」を徹底的に根付かせる

では、モンストがなぜミクシィにできて、他のゲーム会社にできなかったのか。なぜ、オンリーワンのポジションを取りにいけたのか。これを木村さんに聞くと、「徹底した顧客主義」が根底にあるのだと教えてくれた。

スマホを持って集まっているのに、ユーザーは同じゲームを別々に遊んでいる――。そんな状況を変えたいと思ったのだという。作るのは、「集まって一緒に遊べる世界」「スマホを使ってみんなで遊べる価値観」だ。

「誰に対してどういう価値を届けるのか、それを徹底的に議論して、モンストの企画はできあがりました。ミクシィはゲームを作ったことがなかったので、固定観念に囚われずに開発を推進できた。それも、真新しい価値を提供できた理由だと思います」

モンストのスタジオでは、正社員・委託社員含めて現在約300人が働いているそうだ。中には入社1~2年目のスタッフや、ゲームに全く関わったことのないスタッフも多いという。それでも高品質のゲームを提供できるのは、やはり「顧客主義」を徹底的に根付かせるからだという。

「経験はあまり問いません。大事なのは考える力。『ユーザーはどう考えるのか』と想像する習慣を徹底的に植えつけます。それができると、同じインターフェイスでコミュニケーションをしているように、チームがスムーズに回るんです」

「『楽しい』を知らないと、楽しいものは作れない」

モンストスタジオ内では、「一体感のある、風通しの良い雰囲気をつくるように心がけている」と木村さんは言う。毎日の朝会では、木村さん自ら必ず「ネタ」を披露してスタッフを笑わせるそうだ。

そのおかげか、新卒・若手社員からは自分たちのチームについて「経験や年齢に関係なく、考えをフラットに受け止める」「必要となる表現の幅がとても広く、様々な制作ができる」と評する声が出ているという。闊達な雰囲気はゲームの質にも影響するかもしれない。

「僕たちはコミュニケーションを通じたエンターテイメントを提供する生業ですから、やっぱり『楽しい』ということが何かを知っていないと、楽しいものは作れない。常にユーザーが楽しんでいる姿を思い浮かべて、サービスを設計していきたいですね」

気になる今後だが、「コミュニケーションを様々な角度から分解していくと、まだ満たされていない領域がある」と、木村さんから意味深なコメントがあった。

コミュニケーションの「新しい価値」を提供するのに、ゲームという形にはこだわらないということかもしれない。モンストとともに、ミクシィの新たなサービスにも注目したいところだ。