2015年07月17日 13:21 弁護士ドットコム
人に貸したものの、返してもらえないままになっているお金、ありませんか。貸してから何年もたった後でも請求できるものでしょうか。YOMIURI ONLINEの掲示板「発言小町」に寄せられた質問について、森本明宏弁護士に聞きました。
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10年ほど前、私の父は友人Aに「事業資金を貸して欲しい」と頼まれ、100万円を貸しました。ところが、いまだにAからお金を返してもらっていません。Aは、はじめから返すつもりなどなく、100万円は飲食やギャンブルに使い込んだらしいのです。
人のいい父は、「親しい人であってもお金は貸すものではない。高い授業料だった」と自分を納得させ、私たち家族もお金が返ってくるのをあきらめていました。けれど5年前、父が経営する会社が倒産し、以来、私たちは苦しい生活を強いられています。
時折、Aのことを思い出しては、悔しくてたまらなくなります。父がAにお金を貸したことを証明する書類は何もありませんが、父が預金口座から100万円を引き出したことは、通帳で確認できます。
今から、100万円を取り返すことはできるのでしょうか?
(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです)
Aさんが自分からお金を返してくれない場合、裁判などのなんらかの法的手段をとることが必要でしょう。ただ、個人間のお金の貸し借りの時効は、原則として10年。ご相談のケースでは、返済日の定めがないようですから、お金を貸した日から10年が経過していれば時効になります。この場合、Aさんは、時効を主張して、支払いを拒むことができるでしょう。
今できることとして、早急に、返済を求める内容証明郵便を送ってください。まだ10年が経過していないのであれば、内容証明を送ることで時効が6か月間猶予されます。その間に、どんな法的手段をとるべきか考えましょう。
裁判になった場合、Aさんが「そんな金は借りていない」などと主張してくる可能性があります。そうすると、お父様は、貸したことを証明しなければなりません。ただ、銀行口座から100万円を引き出したという通帳の記帳だけでは、裁判に勝つことは難しいでしょう。100万円はお父様が自分で使ったのではないか、Aさん以外の人に渡したのではないかと判断されるかもしれないからです。
当時のメモや、Aさんの金遣いについての証言など、どのようなものが証拠になるかは事件によって様々です。先の述べた内容証明に対するAさんの返事も、内容次第では、お金を貸した証拠になります。まずは一度、今後の方針や裁判になった場合の見通しなどについて、弁護士にご相談いただくのがよいかと思います。
【共同企画メディア】大手小町
読売新聞が運営する「YOMIURI ONLINE」の「大手小町」とのタイアップ企画です。大手小町の掲示板「発言小町」に寄せられた質問に弁護士が回答します
【取材協力弁護士】
森本 明宏(もりもと・あきひろ)弁護士
愛媛弁護士会所属(2002年弁護士登録)。2010~2011年度、愛媛弁護士会副会長。
愛媛地方最低賃金審議会公益委員・日本スポーツ法学会会員。http://www.facebook.com/lawyer.morimoto
事務所名:四季法律事務所
事務所URL:http://www.shiki-law.com/