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武井咲の新ドラマ「エイジハラスメント」で考える 若くてキレイは「女のスキル」なのか?

2015年07月15日 02:00  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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7月9日に新ドラマ「エイジハラスメント」(テレビ朝日系)がスタートした。内館牧子氏が脚本を手掛ける10年ぶりの連続ドラマとあって、お得意の「ドロドロ人間劇」の展開が期待されるドラマである。

物語は、武井咲演じる新入社員(吉井英美里)が大手商社に就職することから始まる。希望の部署ではない「総務部」に配属されて落胆した英美里だが、本当のガッカリはその職場環境がモラハラ、パワハラ、そして「エイハラ(エイジハラスメント)」のデパートだったことだ。(文:みゆくらけん)

総務の女子だけ制服? 時代錯誤感満載だけど・・・

このドラマで描く「エイハラ」は、主に女性社員への年齢差別。「若くてキレイ」な新人(英美里)が入ってきたとたん、男性社員らは目の色を輝かせ、残酷なまでに他の女性社員らと違う扱いをする。

そんな男性社員らを上司に持つ英美里が任される仕事は、受付やお茶汲み、パーティーのアテンド役や、会社パンフレットの表紙の顔役など「若くてキレイなことがスキル」といわんばかりのもの。

これには他の女性社員らも黙っておられず、嫉妬や憎悪をついに英美里に向けるようになるのも自然な展開である。しかしドラマ放送終了後のネットの反応は「おもしろい!」「展開が早くていい」といった好感触のものより、「はぁ?」「微妙・・・」といった声が多い。

理由は、主人公の英美里の非常識さがあんまりだからだ。会社の最終面接に向かうエレベーラー内でイチゴを食べたり、入社4か月で「お茶汲みが大事な仕事なら課長やってくださいよ!」と上司にキレたり。

総務の女子だけの制服制度や、課長レベルの会議でお茶出しなど、時代錯誤感満載のドラマ設定にも問題がありそうだ。

さらに決めゼリフの用意、ナレーションの声、音楽などいかにも「半沢直樹」や「ドクターX」を意識したつくりで「そーよねハイハイ・・・」となってしまう。杉本哲太と吹越満が「セット売り」され過ぎているのも気になるし。

稲森いずみ「若さが使えるうちは、それが最大のスキル」

そのようにツッコミどころは多々あるが、ドラマなのだからここではこれ以上掘り下げないでおこうと思う。問題は「エイハラ」だ。ドラマの中で女性上司(稲森いずみ)が英美里に向けてこう言うシーンがある。

「あなた、『若さ』以外にスキルある? 若さが使えるうちは、それが最大のスキルだと思って頑張りなさい」

これは英美里が「若さだけじゃない仕事でも私を使ってほしい」と訴えた時の返しセリフである。「何もできない新人が!」というところか。

散々「空気を読め。チヤホヤされるな」と英美里に言ってきた「女性」上司に結局コレを言わせるあたり、「エイハラ」とは何なのかを考えさせられる。

男性からしてみれば、無意識にやってしまっているかもしれない女性への年齢差別。ドラマの中で次長の吹越が、お茶出しをしてくれたベテラン女性社員に調子に乗ってつい言ってしまったのが、この一言だ。

「年輪重ねた方は、お茶出ししなくていいから。これ、気が利いてるのか利いてないのか分かんないね。なーんちゃって」

アラフォー視聴者「わかりすぎるくらいわかる」

そして新人の英美里を呼び、来客に紹介するのである――。この展開はベテラン女性社員にとってあまりに酷だが、現実社会にも近いことはあるようだ。この部分については、ネットにも「あるある」といった声が並んでいる。

「男性の愚痴とか女性の陰口がリアルで心が痛くなる…」
「わかりすぎるこのドラマ! 大体、男の上司が無神経→新人に当たるって感じだよね」
「アラフォーです。わかりすぎるくらいわかって、せっかくくつろいでたのにドラマでも落ち着かない...」

悪意のない無意識の差別だからこそ、傷つくという声もある。ちなみにこのドラマ、あまりに「総務」をバカにしていると憤るネットの声も結構あって、「部署ハラ」と言われかねないリスクもありそうだ。

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