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20万人の官邸前抗議を捉えた記録映画、歴史社会学者・小熊英二の初監督作

2015年07月14日 12:10  CINRA.NET

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『首相官邸の前で』 ©2015 Eiji OGUMA
映画『首相官邸の前で』が、9月2日から東京・渋谷のアップリンクで隔週水曜日に上映される。

同作は、2012年夏に首相官邸前に集まった約20万人の人々によって行われた福島第一原発事故後の原発政策への抗議運動を捉えたドキュメンタリー。「脱原発」「民主主義の再建」を訴えて官邸前に集まった、菅直人をはじめとする立場の異なる8人へのインタビューを通して、原発事故の恐怖や抗議運動の台頭、首相との会談までの経緯が映し出される。

メガホンをとったのは、『単一民族神話の起源―「日本人」の自画像の系譜』『<民主>と<愛国>―戦後日本のナショナリズムと公共性』『1968』といった著書で知られる歴史社会学者の小熊英二。同作で初監督を務めた小熊は、原発事故以降、積極的に脱原発運動に携わっており、同作では無償提供された自主撮影の映像を多数使用しているという。音楽はジンタらムータが担当している。

小熊は同作について「私は、この出来事を記録したいと思った。この映画の主役は、映っている人びとすべてだ。その人びとは、性別も世代も、地位も国籍も、出身地も志向もばらばらだ。そうした人びとが、一つの場につどう姿は、稀有のことであると同時に、力強く、美しいと思った。歴史家である私がいまやるべきことは、これを記録し、後世に残すことだと思った」とコメントしている。