スーパーGT第3戦で見事、優勝を果たした本山哲と柳田真孝が東京・渋谷区で祝勝会ファンミーティングを開催。本山にとっては3年半ぶり、柳田にとっても3年ぶりという優勝の喜びを来場したファンとともに分かちあった。
「ファンのみんなとこのようなイベントをやろうと10日くらい前に急に思い立って」と本山が話すように、本山が企画を考え、柳田とチーム、そしてメインスポンサーのSロードが協力する形でイベントが実現。実質、1週間ちょっとしか募集期間がなかったにもかかわらず、80人の募集はすぐに定員に達し、本山と柳田というふたりの人気を改めて印象づける形となった。
会場ではメインスポンサーでもあるSロードの鮭を使った料理が振る舞われ、老若男女、幅広いファンが集まり、季節柄、浴衣で参加する女性もいるなど賑やかな雰囲気に。本山もファンと気さくに話し、写真撮影にも応じるなど、ファンとの交流を楽しんだ。
「個人で開催するイベントは今回が初めて。今までファンに向けたイベントができていないと思っていて、やっぱりこういうイベントをしていきたいなあって。でも、なかなか時間的にも難しくてできていなかった」
本山が話すように、ブログやSNSを使ってのファンとの交流はこれまであったものの、サーキット以外で本山が個人でファンと直接触れ合うといった活動はなかった。これまで勝てなかった3年という期間が、本山の心境を大きく変えたようだ。
「自分自身、久しぶりに優勝したというのもあったし、やっぱり優勝するというのはすごく難しいこと。僕も長く走っていて、ファンのみんなは2年、3年と勝てない状況であっても、ずっと変わらず応援してくれた。その中でようやく優勝できてというのもあって、イベントを開きたいなと」
「今はいろいろな意味で余裕もあるし、昔と言ったらおかしいけど自分にとってレースは勝つことというのが、意外と通常のことだった。そのときはファンとの交流は個人のイベントという形ではなかった。ただ、レースはやっぱりファンとスポンサー含めて、たくさん応援してくれる人たちがいてこそというのが、身に染みてよくわかるようになった。大人になった(笑)。そういう部分はあります。実際、いつサーキットに行ってもファンの人たちが集まってくれて、ピットウォークでもたくさんの人が並んでくれるというのはすごくうれしい。ファンの人たちにはいつも感謝しています」
この勝てなかった3年間、レースを辞めようと思ったことがあるかとの質問にも、「辞めようとは思わなかった」と本山は即答する。
「毎年クルマとかタイヤとか変わっていく中で、モノに対して自分の求めるところ、追及していくというところでは結果に関わらず、自分のクルマのセットアップもそうだし、自分のドライビングもそうだし、やっぱり日々、常に研究して、出来る限りすごく高いレベルを目指している。それが今、自分の中でいろいろな意味で形になってきている」
タイでの勝利は、本山の3年間のその努力が実った形となった。
「この3年間、走っているときのタイムだったり速さという部分ではいいものがあった。気持ちの中ではトップの優勝する位置に行ける力があるというのを自分の中で持っていた。その部分をきちっと結果に出せた」
これで一躍、本山と柳田はランキング4位に上がり、タイトル争いに加わることなったが、本山は今後のポイントをどう見ているのか。
「鈴鹿、SUGO、オートポリスがポイントになってくる。ただ、1回勝つことによって気持ち的にも全然違うし、これで安心してもっと思いっきり行けるというところでは、自分だけでなくチーム全体としても行きやすくなる。チャンピオンのことはあるけど、チャンピオンシップを別にして、シーズン中にあと1、2回は勝ちたい」
柳田も本山の考えに同調する。GT500でタイトルを獲った2011年、2012年、柳田とモーラは序盤戦でよい結果が出せず、中盤戦での勝利をきっかけに後半戦でポイントを稼いでチャンピオンまで上りつめた。
「チャンピオンを獲った時も、優勝からいい流れを作ることができた。あの時のように、なんとかその流れに持っていきたい。ただ、今のスーパーGTは本当に厳しいですから、そんなに簡単にいい流れは作れない。1戦1戦、気を引き締めて優勝を狙いたいですね」
3年半ぶりに勝利を挙げた本山、そして3年ぶりに勝利を挙げた柳田。ようやく陽の目を浴びたふたりの元GTチャンピオンが今後、どんなレースを見せるのか。大人の余裕を身に着けて一段、人間的にも深みを増した本山には、レース以外の活動でも楽しみが増えた。