2015年07月10日 07:51 弁護士ドットコム
キャラクターが飾り付けられたケーキが子どもたちに大人気です。どんなキャラクターにすれば子どもたちが喜んでくれるのか悩みどころですが、人気アニメや漫画のキャラクターを使っても問題はないのでしょうか。YOMIURI ONLINEの掲示板「発言小町」に寄せられた質問について、著作権問題にくわしい桑野雄一郎弁護士に聞きました。
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娘が通う小学校のバザーで、お母さんたちが手作りケーキを販売することになりました。子供たちに喜んでもらいたいので、大人気の漫画のキャラクターや、世界的に有名なアニメのキャラクターなどをかたどったマジパンを作り、ケーキに飾り付けようと思っています。
この場合、キャラクターの著作権者から許可を取り、使用料などを支払う必要があるのでしょうか。素人の私たちが手作りするので、あくまで「キャラクターに似ているマジパン」に過ぎませんが、それでも、そんなケーキを無断で販売するのは、違法に当たるのでしょうか。
(この質問は、発言小町に寄せられた投稿をもとに、大手小町編集部が再構成したものです)
漫画やアニメのキャラクターは、著作物として保護の対象となっています。ですから、そっくりのキャラクターを飾り付けたケーキを作ることは、著作権法では、「複製」をしていることになります。
ですから、バザーで販売する目的で、著作権者の許可を得ないまま作ってしまうと、複製権の侵害となってしまいます。
ただ、家庭内で、親が子どもに作ってあげるのものであれば、著作権法の例外である「私的使用目的の複製」が適用されて、複製権の侵害にはなりません。私的に使うものであるのか、それとも販売目的なのかによって、判断が分かれるということになります。
個人が恋人や友人のために作ってあげることも、ちょっと微妙な面もありますが、同じような理由で複製権侵害にはならないでしょう。
もう1つ注意すべきポイントがあります。いずれの場合でも、出来上がったケーキの写真をホームページやSNSに投稿すると、著作権法の公衆送信権(著作物の送信をコントロールする権利)の侵害となりますので、注意してください。
【共同企画メディア】大手小町
読売新聞が運営する「YOMIURI ONLINE」の「大手小町」とのタイアップ企画です。大手小町の掲示板「発言小町」に寄せられた質問に弁護士が回答します
【取材協力弁護士】
桑野 雄一郎(くわの・ゆういちろう)弁護士
骨董通り法律事務所。島根大学法科大学院教授。「外国著作権法令集(46)-ロシア編―」(翻訳)、「出版・マンガビジネスの著作権」(以上CRIC)、「著作権侵害の罪の客観的構成要件」(島大法学第54巻第1・2号)等。
事務所名:骨董通り法律事務所
事務所URL:http://www.kottolaw.com