トップへ

全国チェーンが「脱・東京発信」で売上伸ばす 地域密着で「資源」発掘し磨き上げ

2015年07月09日 05:00  キャリコネニュース

キャリコネニュース

写真

コンビニエンスストアといえば、24時間365日営業の便利さと引き換えに、全国画一的な品揃えといったイメージがあった。ところがセブンイレブンでは、1年前から弁当などの惣菜に関西限定メニューを増やしたところ、販売数が3倍に増えたという。

2015年6月30日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)は、東京からの全国展開の発想を転換し、地域密着型の商品開発に奮闘する企業の取り組みを紹介した。

セブンもJTBも「地域限定商品」に力入れる

これまでセブンイレブンジャパンでは、東京本社でほとんどの商品を開発し、鈴木敏文会長のゴーサインで全国へ出荷してきた。しかし今年からは、全国を9つのブロックに分けて、それぞれ地域限定の商品を販売していくことに決めた。

「最近は、東京の食に対する憧れはなくなった。むしろそれぞれの地域の味に郷愁を持っている時代になってきた」(鈴木会長)

同じような発想で、大胆な地域密着戦略を進めていたのが大手旅行会社のJTBグループだ。これまでは東京本社があらゆる旅行プランを決めていたが、数年前から、首都圏・関東・西日本など地域ごとに分社化し、独自にツアー開発を行っている。

「従来の物見遊山的な観光ではなく、その場に行かなければできないことを作っていくのが重要。分社して権限を与え、地域の人たちと一緒になって新たな観光資源を発掘し、磨き上げる」(久保田穣常務)

JTB中国四国の岡山支店・徳弘靖亮さん(36)が新たな観光地として目をつけたのは、岡山県瀬戸内市の前島だ。日本の夕日百選にも選ばれている美しい夕日をウリに、島民の意見を直接取り入れ、新しいツアーを開発していた。

「地域の宝の原石は、どこにでもある」

徳弘さんが1泊2日5000円の格安モニターツアーを企画すると、4家族13人が参加した。島唯一の郵便ポストでさえ観光スポットとして紹介し、手作りのいかだ乗り体験や、美しい浅瀬で海の生き物を見たり、かぼちゃの収穫体験をしたりと盛りだくさん。

郷土料理であるカボチャぜんざいは徳弘さんの勧めで冷たく冷やして出すと、皆おかわりをしていた。あいにくの天気で夕日は見られなかったが、夜になってからバスで海に向かうと、青く光るウミホタルに参加者たちは大喜びだ。

翌日は海釣りでバーベキュー。ツアーに参加した家族たちは島民に見送られ満足げに帰って行った。徳弘さんは、こうしたツアーに大きな可能性とやりがいを感じている様子で語った。

「地域の宝の原石は、どこにでもあります。地域の宝を本当の宝にするために、一緒になって磨き上げていきたい」

担当者の表情に「地域に貢献している」自負感じる

番組ではそのほか、セブンイレブン長野・山梨ブロックの商品開発責任者である永井さん(42)を紹介。味噌の消費量全国一位の長野で郷土料理である鉄火茄子を、長野県出身の社員たちの意見を聞きながら開発していた。

いくら力のある素材であっても、地元の人しか分からない地域の良さは、その道のプロがより完成度の高い商品として磨き上げなければ、広く受け容れられることは難しいだろう。

セブンの弁当もJTBの旅も、郷土愛を大切にする姿勢のなか、地域の人の意見をもとに開発されていた。担当者の表情からは、地域の役に立っているという自負が感じられた。長所を引きだし役に立つ仕事というのは、やりがいがあるのだろう。(ライター:okei)

あわせてよみたい:遊びと体験の予約サイト「アソビュー」の地元密着ビジネス