同氏は2002年から、母国ベルギーが19世紀から20世紀にかけてコンゴに対し行った苛烈な植民地政策の歴史が題材とした作品を制作。「ベルギーの文明化の裏で卑劣な拷問が行われていたことは、学校では教えられることのない隠された真実(=闇)だ」と言い、初期フランドル派の巨匠ヒエロニムス・ボスが描いた三連画「Garden of Earthly Delights(地上の悦楽の園)」に含まれる寓話や教訓の表象に置き換えて表現している。
今回のエキシビションでは、2011年から2013年に発表された作品シリーズ「Tribute to Hieronymus Bosch in Congo」から合計14点の作品を展示。大量の鞘翅によって描かれた巨大なモザイク作品や三連画は、1枚のパネルにつき約2ヶ月の製作期間で完成させるといい、祖父の影響で作品に用いるようになったという鞘翅の調達について「アマチュア昆虫学者という肩書きもあり、大学の研究機関から譲ってもらっている。スカラベが潤沢なのはコンゴというのは皮肉な話だ」と話した。「Tribute to Hieronymus Bosch in Congo」の会期は7月9日から9月23日まで。