長時間労働を改善するために、出勤時間を1~2時間前倒しする「朝型勤務」を導入する企業や官公庁が増えている。そんな中、あえて「午前中の仕事を禁止する」という「フリーAM」制度をキャリコネニュースで紹介したところ、ネット上で大きな反響が寄せられた。
フリーAMは、若新雄純・慶応義塾大学特任助教が7月2日放送の情報番組「モーニングCROSS」(東京MX)で提唱したもの。「遅れないけど、終われない」という日本人の特性に着目し、朝早く出勤してもどうせ早く帰ることができないのだから、いっそのこと午前中の仕事を禁止にして「後ろをダラダラにする」という働き方だ。
朝のラッシュを回避し、スッキリ目覚めて業務開始
従来の常識からすると、かなり突飛な考え方ではある。ネットにも「そんなの職種による」「陽の明るいうちに帰る方が健全」と反発もあったが、「共感できる」などと賛同する声も少なくない。
「これはよくわかるなー。 終わりはどうせ決まってるんだから、入りの時間を遅らせるって方がいいよねー」
残業時間がどんなに長引いても、たいていの会社では終電で帰る。それなら昼過ぎから働き始めた方が、最終的な労働時間は短くなるはずだ。
「地方住みの国家公務員」という人も、「この提案に賛成です」とつぶやく。目覚ましに強制的にたたき起こされるのではなく、「自然に目覚めた状態で出勤できるのがメリットですね」と書いている。
実際に13時~22時で働いていたという人からは、「勤務時間が長めなのにメンタルは非常に良好だった」という経験談も出ていた。あわただしい朝の出勤ラッシュを回避し、スッキリ目覚めてから余裕を持って働き始めると、ストレスの感じ方も違うのかも知れない。
午前休みでは「消費の活性化」には結びつかない?
また若新氏は、フリーAMにして午後から働くことは脳の特性的にもいいと説明していた。午前中の方が頭は冷静だが、午後の方が動物的な直感が優れているため、現代の社会で要求される複雑でクリエイティブな仕事は午後に処理した方がいい、というのだ。ネットでも、
「朝の仕事は本当に思考が働かない。昼休みが終わってからが本番だね」
「裁量労働制で午後出社だった時が一番仕事がはかどった」
という声が出る。1日の中でフルパワーを出す時間帯を、13時~18時ぐらいに設定している人も少なくないようだ。
ただ一方で、政府が「ゆう活」などで朝型勤務を推奨する背景には、「仕事のあとの時間を増やして、消費を活性化する目的もあるのでは?」という指摘もある。
「一般企業まで夜型勤務が蔓延(はびこ)ると、平日のライブは壊滅的集客で音楽産業はトドメをさされそうだ」
これを回避するには、夜に早上がりをしたいという希望があれば、午前からの勤務を許可するなど柔軟な運用が求められるだろう。若新氏は番組で「将来フリーAMの時代が来れば若新が先取りしていたということでカリスマになれる」と夢を語っていた。果たして、そのような時代は来るだろうか。
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